トウモロコシ畑近くを移動するサル(京都府京丹波町市場)

トウモロコシ畑近くを移動するサル(京都府京丹波町市場)

 京都府京丹波町和知地区でサルの農作物被害が深刻化している。農家からは「農業が成り立たない」との悲痛な声が上がっており、サルへの早急の行政対応を求めている。

 サルの群れは府内に37群あり、1700匹前後生息していると推定されている。町によると、和知には3群あって1群につき30~40匹という。

 京丹波町で営農する農業生産法人「たんば村」(同町升谷)は同町市場で育てていたトウモロコシが6月30日にサルの被害に遭い、約600本が食べられた。中野武久代表(54)は「移住して9年目だが、被害が年々ひどくなっている。周囲には野菜を作るのをやめた人もいる」と語る。福井県おおい町でも営農しているが、「行政に抜本的な駆除を求めても改善されない。被害が続けば、別のところに移ることも計画している」と憤る。

 同町市場の農業の男性(68)もサル被害に悩まされ続けており、「苗から育てた黒枝豆が食べられた。撃退用の花火にも慣れてしまって効果が無い。農作物は大切な生活の糧でどうにかしてほしい」。

 府は昨年度、和知地区で農作物への加害性の強いサルを選んで5匹を捕獲したが、地元の30代の男性農家は「群れが分かれただけで被害は収まっていない」とみている。

 隣の兵庫県では丹波篠山市を中心に専門の監視員を配置してサルの出没位置をメール配信している。兵庫県に隣接する京丹波町の西部はサルの位置情報が把握できるが、和知のサルは兵庫県に移動しないため、対象外だ。

 府農村振興課の野生鳥獣対策担当者は「町に個体数調整を呼び掛けている」という。大規模駆除ができる個体数調整には、市町村が対象の群れの行動圏や加害レベル、被害状況などをまとめた計画を作成し、専門家会議にかけて府が許可する。

 京丹波町は人手不足で個体数調整に必要な調査ができていない、という。捕獲数に制限がある有害鳥獣対策としてサル専用のおりで、新たに捕獲を試みる予定だ。同町農林振興課は「被害が深刻なのは認識しており、個体数調整も視野に入れて検討したい」としている。