賃金の地域間格差の拡大は見過ごせない。

 2019年度の地域別最低賃金(時給)の目安が全国平均で27円引き上げられ、901円となることが国の審議会で決まった。

 京都府は882円から909円、滋賀県は839円から866円にそれぞれ引き上げられる。

 「骨太の方針」に「全国平均千円」を目指す方針を明記した安倍晋三政権の意向に加え、人手不足の深刻化や労働側の強い要請もあり、全国平均の時給が初めて900円を超えた。

 とはいえ、平均の上昇は、千円を超えた東京都や神奈川県など大都市部がけん引した結果である。

 901円を上回るのは、実際には7都府県にとどまり、17県は700円台に据え置かれる。東京都と最低額の鹿児島県の差は226円にもなる。

 若い世代の地方から都市への流出に拍車がかかる可能性がある。今後、大幅に増えると予想される外国人労働者も、都市部に集中してしまうのではないか。

 最低賃金は地域の経済情勢に応じて高い順にAからDまでの4ランクで決められる。京都府や滋賀県はBランクだ。

 世界的には、米国やブラジルなど国土が広大な国を除けば最低賃金は全国一律が主流という。参院選では一部の野党が全国一律を主張した。最低賃金の決め方そのものを議論する時期に来ているのではないか。

 また、今回の見直しを踏まえても、生活を支える水準にはほど遠いことを、直視する必要がある。

 最低賃金はすべての労働者に適用されるが、実際には非正規労働者の暮らしに大きく影響する。最低賃金に近い賃金で働いている人が多いためだ。

 時給900円で1日8時間、週5日働いても年収200万円に届かない。働いても貧困という「ワーキングプア」の解消には、時給のさらなる引き上げが不可欠だ。

 もちろん、賃金上昇が経営負担になるという企業にも、具体的な配慮が必要になる。

 最低賃金水準の雇用を抱えている多くは中小零細企業だ。大企業のコストカット分が下請けの中小零細企業に転嫁されるような構造を変える必要がある。

 自治体には、公契約条例で公共工事や物品納入などを請け負う企業に賃金の下限を課しているところもある。こうした例を参考に、社会全体で賃金上昇を促す環境を整備したい。