新祝園ルートと高の原ルート

新祝園ルートと高の原ルート

 大阪府と奈良県を結ぶ近鉄「けいはんな線」の新祝園駅までの延伸実現に向け、京都府精華町が誘致活動を本格化させる。延伸ルートは、新祝園駅(精華町)と高の原駅(奈良市)の2案が想定されているため、町は独自調査を行うなど「新祝園ルート」の優位性を示そうと躍起だ。一方、木津川市は同市の利便性が高い「高の原ルート」の延伸を支持。今後、市町間で綱引きも予想されるが、延伸自体がなくなる恐れもくすぶっている。

 けいはんな線は、長田駅(大阪府東大阪市)から学研奈良登美ケ丘駅(奈良市)までの約19キロ。大阪メトロ中央線に乗り入れ、大阪市中心部を通ってコスモスクエア駅(同市住之江区)まで直通運転している。

 登美ケ丘駅以東の延伸ルートについて、国土交通省の近畿地方交通審議会は2004年の答申で、「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として、新祝園駅と高の原駅の2ルートを併記した。だが、その後進展は見られていない。

 そんな中、精華町は今年2月、延伸ルートについての独自調査を公表した。報告書では、3駅を新設する新祝園ルートの場合、概算事業費は570億円(高の原ルートは約350億円)、利用者は1日当たり2万5200人(同1万6700人)になると試算。「事業費は高いが、それに見合う利用者が見込まれる」と優位性を強調した。

 さらに報告書では、近鉄が、大阪万博の会場となる夢洲(大阪市此花区)まで延伸を検討していることから、「新祝園に接続すれば京都―夢洲をつなぐ新しい観光ルートが生まれる」と指摘した。町議会も6月24日に全会一致で早期実現を求める決議をし、町を挙げて延伸実現を目指す体制を整えた。

 一方、木津川市は「高の原ルート」を推している。高の原駅は奈良市との市境に位置し、「利用者は奈良市民より木津川市民の方が多い」(同市学研企画課)ためだ。

 今年3月に策定した市総合計画でも「市域内への延伸を関係機関に働きかける」と明記。近鉄京都線の中で、高の原は京都、大和西大寺、丹波橋の各駅に次ぐ乗降客があるとし、「高の原の利便性が向上すれば学研都市全体の利便性も高まる」とメリットを訴える。

 ただ、「答申から15年が経過し、このままでは次期答申で延伸構想自体が消えてしまいかねない」(精華町幹部)との懸念は両市町に共通する。延伸の実現には、住民も巻き込んだ誘致運動の盛り上がりが求められそうだ。