温暖化防止に十分な内容といえるだろうか。

 エアコンや冷蔵庫の冷媒として使われている「代替フロン」の回収が来年から強化される。国がフロン排出抑制法を改正した。

 代替フロンは熱を蓄積する力(温室効果)が強く、種類によっては二酸化炭素(CO2)の1万倍以上ある。

 大気中に漏れ続ければ、地球温暖化がこれまで以上に進むため、各国で排出の抑制を進めることが国際的な合意となっている。

 日本では、家庭用のエアコンなどは家電リサイクル法の回収対象で、漏えい対策が整っている。

 今回の法改正は、対策が遅れている業務用の冷蔵庫やエアコンなどの廃棄時に大気中に放出されるのを防ぐのが狙いだ。

 代替フロンを抜き取らずに機器を一度でも廃棄すれば罰金対象となる。回収済みの証明がない機器をリサイクル業者が引き取ることも禁じる。

 建物の解体時に空調設備から代替フロンを適切に回収しているかどうかを、都道府県が立ち入り検査できるようにした。解体業者には関連書類の保存も義務付ける。 業務用機器からの代替フロンの回収率は2017年度で38%にとどまっている。管理を強め回収率を上げることは重要だ。

 とはいえ、本来目指すべきは「脱フロン」ではないか。その点では、法改正は不十分なままといえよう。

 最初に開発された「特定フロン」はオゾン層を破壊するため、モントリオール議定書で20年までに全廃することになった。

 代替フロンはオゾン層を破壊しないため一時歓迎されたが、現在では温室効果ガスとして使用と排出の抑制が課題となっている。

 その意味で今回の法改正では、排出の管理強化だけでなく、全廃に向け、使用量の抑制や他の冷媒物質へ転換を促す対策も強めるべきではなかったか。

 温暖化防止に向けたパリ協定の目標を達成するには、50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすべきとされている。

 フロン類はフッ素と炭素の人工化合物で、CO2のように森林や海水に吸収されることはない。完全に封じ込める必要がある。

 CO2など、自然界にもともと存在する物質を冷媒にする技術はすでに実用化されている。政府は、こうした自然冷媒を使う製品販売を補助するなどして、普及を促してもらいたい。