黒川雅代子教授

黒川雅代子教授

 京都市伏見区の「京都アニメーション」第1スタジオの放火殺人事件で、京都犯罪被害者支援センター(京都市上京区)が、遺族や負傷者の支援に向けて準備を進めている。京都府警の被害者等支援アドバイザーを務める龍谷大短期大学部の黒川雅代子(かよこ)教授に、遺族らへのケアなどで留意すべき点を聞いた。

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 今回は安全なはずの会社の勤務中に起きた事件で、犯行の理由もよく分かっていない。遺族にとっては、かけがえのない存在の人がなぜ死なないといけないのか、という一番大事な部分が抜け落ちた状態になっている。そういう意味でも警察の捜査は重要になり、府警は引き続き遺族に対し、丁寧に説明していくことが求められる。

 周囲の人たちは「頑張って」などと無理に言葉を掛ける必要はない。子どもの送迎の手伝いや食事を持って行くなど、できる範囲での日常のサポートを申し出たりして、「とても心配している」というメッセージを態度で伝えてみては。

 火災で負傷した人には、大きな困難が待ち受けている。クリエーターとして復帰できるかも不明で、支援が大事になる。同じ会社で働き無事だった人も「自分だけ助かった」という罪悪感を抱く可能性もあり、ケアしていくべきだ。

 一般的に事件や事故の直後は「覚えていない」と振り返る遺族も多いが、後々大きな悲しみが訪れる。京都アニメーションに対しては、世界中から哀悼の意がささげられ、亡くなった方の仕事にも注目が集まっている。「忘れられるのがつらい」という遺族もおり、報道機関は息の長い取材で犠牲になった方々の功績などを大切に伝えてほしい。