キャッシュレス決済の無人書店「セルフブックス」がこの冬、大津市内の商業施設にオープンした。店員は常駐しない。携帯電話で会員登録、ID番号を打ち込んで入店する。防犯カメラも設置する▼オーナーの平田幸一さんはインターネット販売に押され、まちの書店が姿を消す中で成り立つ経営を模索した。会員登録や防犯カメラは書店を悩ませる万引を予防するが、入店者を絞り込むことにもなる。無人書店は「苦肉の策」だ▼店内は、海外の児童文学や美術、映画など特定分野の古書や新刊本が並び、個人が自分の本を売ることができる貸し棚(有料)がある。「不要な本でなく薦めたい本を置いて」と平田さんは呼び掛ける▼本は私たちの心を豊かにする。本を通してさまざまな場所やいろいろな人生を知る。書店は本と読み手をつなぐ場だ。インターネットでは効率的に本を探せても偶然の出会いは得られない▼書店の閉店が相次ぐ。大手のジュンク堂書店京都店(京都市下京区)も2月で閉まる。以前は仕事や趣味の本を探して半日ほど店内で過ごすこともあったが、近年は足が遠のいた▼新刊書よりも古書に読みたい本が多いように思う。古書、新刊書をミックスしたネット発信できる個性的な書店。今後まちに残るのはそんな店ではなかろうか。