大村さんの卒業制作「どっくん、どっくん」(常葉大提供)

大村さんの卒業制作「どっくん、どっくん」(常葉大提供)

 京都アニメーションの放火殺人事件で犠牲となった大村勇貴さん(23)が今年3月に卒業した常葉(とこは)大(静岡県)は6日、大村さんの人となりや学生時代の様子を紹介する文書を公表した。「何かを創り、話し、試し続けていた存在は、学生にとって、大変力強く、尊いものでした」と早すぎる死を惜しんだ。

 文書を公表した理由を、「彼が本当に素晴らしい卒業生であり、学生生活や制作活動がいかに充実したものであったかを理解していただきたい」からとし、遺族の了承を得て、安武伸朗造形学部長名で発表した。

 文書によると、大村さんは2015年4月、同学部デジタル表現デザインコースに入学。学内ではリーダー的な存在で、「面白いことをしましょう」とよく教員に声を掛けていた。「絵を描く仕事がしたい」と、スケッチブックを持ち歩いて思い付いたアイデアを書き留めていたという。

 在学中は数々の公募展に応募。伝統のある美術展「二科展」の入選・入賞は3度に上り、課題図書の装画を描く「日本ブックデザイン賞」でも2度入選した。

 自分の意見をしっかり持つ一方で、絵に関してはとても謙虚だった。旅行とおしゃべりが大好きで、旅先でのトラブルも素直に受け入れて笑顔で楽しむような明るい性格だったという。

 学部展優秀賞を受賞した卒業制作「どっくん、どっくん」は生物38億年の歴史を疑似体験する図鑑。文書と同時にこの日データが公開された作品は、動物の鳴き声などを色鮮やかな文字でダイナミックに描いている。作品説明では「小さな子ども達が理解できる平易さを表現するため、文字の情報は擬音擬態語のにみ絞っている」とした。

 安武学部長は「将来ある優秀な卒業生を亡くし(略)、深い悲しみを感じております」と悼んだ。