京都アニメーションの第1スタジオで引き起こされた放火殺人事件から20日。遺族や重軽傷を負った人たち、その家族への支援、心のケアが続けられている。

 時の経過とともに被害者の心の傷が深まったり、生活の支障も出たりする。警察だけでなく、行政や幅広い民間団体、そして地域での息の長いサポートが欠かせない。

 35人が亡くなり、33人が重軽傷を負い、治療を続けている人も多い。京都府警は捜査の一方で、専門の研修を受けた警察官約100人を配備する異例の態勢で、被害者支援にあたっている。

 ほかにも、仲間を突然失った社員たちにも目を向ける必要があるだろう。

 これから、長期にわたる継ぎ目のない支援が、何より重要になってくる。地域の関係機関の連携が求められよう。

 特に公益社団法人・京都犯罪被害者支援センターが担う役割は大きいだろう。早期援助団体に指定されており、相談のほか裁判傍聴の付き添いなど、継続的で幅広い支援が期待できる。

 全国の自治体に被害者窓口が設けられている。さまざまな申請や相談をワンストップで受けるなど、心の傷に配慮した対応に努めてもらいたい。遺族や被害者らが語り合う当事者の会や支援グループがあれば紹介してほしい。

 「ただ話を聴いてくれることが、ありがたいんです」。ある事故で娘を亡くした母親の手記にある。家に閉じこもっていたが、被害者支援センターの存在を知り、相談員に話をし、泣かせてくれたのが、助けになったという。

 被害者はさまざまな問題を抱えている。心身の不調のほか、捜査や裁判での精神的負担、周囲のうわさによる心的負担、経済的な困窮などだ。孤立化することも、しばしば指摘される。それらは時の経過で変化するといい、きめ細かな支援が求められよう。

 周囲はどう接すればいいのか。「早く忘れて」「運が悪かった」という言葉で励まされる人がいれば、逆に傷つく人もいる。内閣府の意識調査によれば、被害者の約2割が傷つくと回答している。

 一方で、「事件にあえて触れないで普段どおりに接する」ことで精神的に落ち着いたという人が、5割近くいた。

 事件の現場では手を合わせる人が絶えず、寄付金も全国から集まっている。被害者の置かれた状況を理解した上で、地域の隣人として支え続けていきたい。