消費増税をしても国の出費が膨らむ一方では、何のためかといわざるをえない。

 政府は、2020年度予算編成に向けたルールを示す概算要求基準を決めた。

 問題なのは、歳出全体の上限を設けず、「青天井」であることだ。第2次安倍晋三政権の発足から7年連続となる。

 この間、予算規模の肥大化が進み、19年度は当初段階で100兆円の大台を初めて突破した。20年度は過去最大を更新する可能性がある。

 国の債務は1千兆円を超え、先進国で最悪水準の「借金頼み」財政だ。歳出の膨張を抑える歯止めがないのでは、編成ルールの役割を果たしていない。あまりに危機感を欠いている。

 野放図な予算編成を続ければ、財政再建は遠ざかり、将来世代への負担が大きくなるばかりではないか。

 20年度予算額を押し上げるのが、10月の消費増税に伴う景気対策など「別枠」だ。19年度に続いて設け、増収分で実施する教育無償化の通年経費も上積みとなる。

 政府は、消費増税前の駆け込み需要と反動減を平準化するとして、19年度当初予算から2兆円超の景気対策を計上した。さらに追加の補正予算や、20年度も手厚い対策の継続を念頭に置いているという。

 景気への影響に目配りすることは確かに必要だろう。

 ただ、消費増税の大きな目的の借金減らしを後回しにし、過度の財政出動を続けるのでは主客が転倒していないか。

 10月の増税に合わせた景気対策の柱であるキャッシュレス決済へのポイント還元やプレミアム商品券発行も、どれだけ効果があるのか疑問視する声が根強い。支出に見合うのか、しっかりと検証しながら、適切に絞り込む必要があろう。

 また、成長戦略に重点配分する4兆円超の「特別枠」も盛り込んでいる。各省庁は公共事業や人件費などを減らせば、削った額の3倍まで要求可能になる。

 予算にメリハリは必要だが、要求額が膨らみ続けることになる。それら別枠化、特別枠化した政策の効果の精査が求められよう。

 安倍首相は、経済成長による税収増を掲げるが、「過去最高」と誇る18年度でも60兆円をやっと超えた程度で、借金は増え続けている。歳出の膨張を止めなければとても追いつかない。