再生可能エネルギーの拡大と負担軽減を両立できる新たな仕組みになるのだろうか。

 太陽光発電など再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)の見直し案を経済産業省がまとめ、有識者委員会の了承を得た。

 家庭や企業の負担を減らすため、事業者が手掛ける大規模太陽光や風力発電などを将来的にFITの対象から外す方針で、再生エネ支援政策の転換点といえる。

 FITは、消費者の電気代に賦課金として上乗せする形で資金を集め、一定期間、太陽光や風力、地熱など再生エネの発電量全てを電力会社が固定価格で買い取る仕組みだ。東京電力福島第1原発事故後の2012年7月、脱原発社会の実現に向け、始まった。

 エネルギーとは縁遠い企業や個人の投資も呼び込み、再生エネを急速に拡大させた。とりわけ太陽光発電の普及に貢献し、18年末の再生エネ施設の出力は制度導入前の約2・2倍に拡大した。

 7年が経過し、再生エネ活用を拡大へ導く「劇薬」としての初期の目標は達成したといえよう。だが普及の「誘い水」として買い取り価格がかなり高く設定されたため、再生エネ施設が急増。賦課金総額は19年度見込みで約2兆4千億円にも上り、負担は一般的な家庭で年間約9200円と重い。

 太陽光発電への偏りや初期の高価格案件の未稼働といった「負の側面」も目立ち、制度設計に甘さがあったのは否めない。このままでは制度が破綻しかねない。

 政府は再生エネの主力電源化をエネルギー基本計画の柱に据え、電源構成に占める再生エネ比率を17年度の16%から、30年度には22~24%に押し上げる方針だ。

 再生エネを主力電源に育てる持続可能な制度とするには、適正な買い取り量や価格の見直し、設備認定の厳格化は避けて通れない。

 とはいえ、発電事業者が長期的に収益計画を見通せないなら再生エネ普及は停滞する。盛り上がってきた機運に水を差してはならない。新たな再生エネ支援策と併せ、新規参入を妨げてきた送電網の容量不足の解消など課題は多い。

 政府は今秋にも見直しの詳細を固め、来年の通常国会で関連法の改正を目指しているが、再生エネの普及を鈍らせない入念な制度設計が欠かせない。

 加えて、政府や電力業界は今もなお原発に固執しがちだ。再生エネの停滞に起因して、かつてのような「原発頼み」への逆戻りを招く事態は絶対に避けたい。