とろみをつけて飲み込みやすくした和菓子や日本酒が並ぶ「京介食」ブランドの発表会(京都府長岡京市)

とろみをつけて飲み込みやすくした和菓子や日本酒が並ぶ「京介食」ブランドの発表会(京都府長岡京市)

 味や見た目にこだわった京料理の介護食を伝統の京焼・清水焼と京漆器の食器で提供しようと、京都や滋賀の医療関係者や企業が新ブランド「京介食」を創設した。とろみをつけた日本酒や舌でつぶせる料理など、食べ物をのみ込む「嚥下(えんげ)」の機能が弱くなっても食事を楽しめるよう工夫を凝らし、全国展開を目指す。

 病院や高齢者施設で働く医師や栄養士、言語聴覚士らでつくる「京滋摂食・嚥下を考える会」は約10年前から味覚、視覚的に優れた介護食の研究を進めている。老舗料亭の料理人の指導を受けて試行錯誤を重ね、ペースト状にしたすし飯やゼリー状に固めた上で表面をあぶった焼きはもを提供するなど技術を磨いてきた。

 成果を上げる一方、より幅広い要介護者に質の高い介護食を提供するには、企業を含む多様な立場からの参画が欠かせないと判断。以前から同会と協力関係にあった京料理や和菓子、日本酒、京漆器の製造業者など約20団体とともに「京介食推進協議会」を7月に設立し、協議会が中心となって京介食ブランドの拡大を図ることになった。

 7月20日に京都府長岡京市で新ブランドの発表会があり、酒造会社「北川本家」(伏見区)は清酒「富翁」にとろみをつけた商品を披露。老舗の「漆器のアソべ」(下京区)は持ちやすく少量ずつすくえるよう形状を工夫したスプーンを紹介した。価格などは今後決めるといい、「考える会」の代表世話人で協議会会長に就任した外科医の荒金英樹さん(52)は「ブランドが広がることで介護食が身近なものとなる。健康な時から『食べられなくなる時』を明るく考えるきっかけにしてほしい」と話している。