検閲印の有無など、俘虜用郵便葉書の表記を1枚ずつ調べ、パソコンに打ち込む佐藤教授(舞鶴市平・舞鶴引揚記念館)

検閲印の有無など、俘虜用郵便葉書の表記を1枚ずつ調べ、パソコンに打ち込む佐藤教授(舞鶴市平・舞鶴引揚記念館)

 戦後、シベリア抑留者と日本の家族をつないだ唯一の通信手段「俘虜(ふりょ)用郵便葉書(はがき)」の大学教授による調査が13日、京都府舞鶴市平の舞鶴引揚記念館で始まった。形態的な特徴や年代による変化が当時の国際情勢とどう結びつくかを分析し、今後の展示や発信に生かす。

 外交史を専門とする東京女子大の黒沢文貴教授、中央大の佐藤元英教授、駒沢大の熊本史雄教授の3人。ユネスコ世界記憶遺産申請に向けた収蔵資料の選定にも関わった。

 同館によると、終戦直後から1950年代前半に抑留者と日本の家族との間で交わされた往復はがきで、ソ連などの検閲で内容は制限されたが、抑留者が家族に安否を知らせる貴重な手段だった。

 教授らははがきを手に、ソ連の検閲印の有無や特徴的な文面をパソコンに入力した。同館には14日まで滞在するが、その後も関連資料と照合して重要性や外交上の位置づけを分析していく。

 黒沢教授(政治外交史)は「後年になるとカナ表記が漢字交じりになるなどの形態変化に、どのような歴史的背景が影響したかを解明できれば」と期待した。同館は、来年の世界記憶遺産登録5年に合わせて調査結果の特別展示を目指す。