台風10号に備え、JR各社は新幹線や在来線の運行を事前に取りやめる「計画運休」を行った。

 お盆のUターン時期と重なり、予定の変更を余儀なくされた旅行客も少なくなかっただろう。

 自然災害が頻発、大規模化する中、安全確保を優先する姿勢は重要だ。計画運休が社会に受け入れられ、うまく定着するよう、事業者はさらに工夫してほしい。

 計画運休は15日に実施された。山陽新幹線は新大阪-小倉間で、東海道新幹線も山陽新幹線との直通を取りやめ、本数を減らした。四国では在来線全線が運休した。

 山陽新幹線を運行するJR西日本は、11日からツイッターで運休や運転見合わせの見込みに言及、13日午前には運休の可能性があると発表し、14日午前11時ごろに終日運休を公表した。

 JR東海は13日夕に、JR四国も13日午後に、それぞれ運転取りやめなどについて情報提供した。

 事前に告知したことで、利用客に準備を促したといえる。大きな混乱がみられなかったのは、乗客側にも計画運休を受け入れる余裕が生まれたからではないか。

 計画運休は、JR各社の収入にも響くが、運転を強行して列車が立ち往生したり、線路や車両などに被害を受けたりするリスクを回避できる。何より、最も重要な乗客の安全を守ることにつながる。

 各社は今回の計画運休で、情報提供や混乱防止などの面で問題がなかったかどうか、十分に検証して今後に生かしてほしい。

 計画運休を巡っては、昨年9月の台風24号接近時にJR東日本が首都圏で大規模に行い、大きな混乱を招いた教訓がある。案内が実施8時間前だったため、帰宅できない人が出るなど課題を残した。

 このため国土交通省は今年7月に指針とモデルケースを示し、48時間前に計画運休の可能性を公表し、24時間前には詳細な情報を提供するよう求めた。

 難しいのは、台風の進路や影響の見極めが簡単とはいえないことだ。48時間前から運休の可能性を示すことの困難さや、「空振り」を懸念する声も聞かれる。

 だが、被害が出てからでは遅い。危険を事前に回避する手段として、利用者も含め社会全体に理解してもらう努力が不可欠だ。

 今回はお盆休み中とあって利用者の多くは旅行客だったが、平日であれば通勤・通学客への影響もあったはずだ。計画運休となった場合に仕事や学業をどうするか、企業や学校の対応も問われる。