東日本大震災からの地域再建を担う復興庁が、設置期限の2021年3月末以降も現体制のまま存続する見通しとなった。

 岩手、宮城、福島など被災県で、復興事業が進んでいるとはいえ、地域の間でばらつきがある。復興庁への地元の期待を考えると、存続は当然といえよう。

 ただ、現体制の形を続けるというだけでは、これまでの議論は何だったのか、と疑問を抱かざるを得ない。

 後継が検討される際、復興だけでなく、防災強化と合わせた強力な組織づくりが議論されたはずだ。全国知事会が提唱する「防災省」創設など、災害大国としてのビジョンや危機感が抜け落ちているようで、残念だ。

 現実的な想定となっている南海トラフ巨大地震や首都直下型地震に、どう備え、対応するのか。さらに昨年の西日本豪雨など、甚大な被害をもたらす自然災害に毎年のように見舞われる状況に、どう向き合うのか。

 こうした現状認識から、専門家らは「防災省」や「防災・復興庁」の設置を提言している。防災・減災・避難を考えた地域づくりから、災害時の対応、復旧・復興まで一貫して担う組織だ。専門職員が継続して任務にあたることによって、教訓やノウハウが蓄積され、迅速で実効性のある対応が期待できるというわけだ。

 復興庁の存続は、自民、公明の与党復興加速化本部が今月提言した。これまでの議論では、震災後の熊本地震や豪雨を重く受け止め、「平時・有事の防災・減災対策に万全を期する緊急時対応」も後継組織に求めていたが、一転して復興だけになった。

 被災県の要望が、現体制の継続だったためというが、それで防災強化の議論が消えてしまってはいけないだろう。

 提言では、内閣府と内閣官房に分散する司令塔機能を一元化し、組織の格上げを求めている。官邸主導の防災強化をうたうが、防災省構想などの議論を棚に上げて、お茶を濁すようにしかみえない。

 復興庁の現状をみると、職員は各省庁からの出向で、仕事は交付金の配分調整にとどまる。復興担当相は司令塔の役割を果たせないという。こうした体制を変えないと、継続の意味は示せない。

 東日本大震災から大切な教訓を数多く得た。それらを生かした本格的な防災・復興組織が、災害多発時代に入った今、求められている。大局的な議論が必要だ。