駅前の路上に設けられた「まちかど駐輪場」。満車状態が続く場所ではラック外の駐輪もあり、業者が定期的に撤去している(京都市中京区)

駅前の路上に設けられた「まちかど駐輪場」。満車状態が続く場所ではラック外の駐輪もあり、業者が定期的に撤去している(京都市中京区)

 駅前や路上の有料駐輪場に自転車を止めたにもかかわらず、なぜか放置車両として行政に撤去されてしまうケースが、京都市内で相次いでいる。満車時に他人の自転車を勝手に移動させ、駐輪ラックを「横取り」する人がいるためとみられる。現制度では自転車の持ち主が撤去・保管料の2300円を負担するしかなく、過失の無い市民が泣き寝入りを強いられている。

■「駐輪場に止めたのに」

 今年5月に記者自身が経験した話。下京区の繁華街にある「まちかど駐輪場」を利用し約1時間後に戻ると、前輪をラックに固定し施錠したはずの自転車が姿を消していた。

 駆け込んだ交番では「市に撤去されたんでしょう」との助言が。保管所で事情を説明したが問答無用とばかりに保管料を徴収され、交渉を続けたが結局、返金はされなかった。保管所では「駐輪場に止めたのに」と訴える女性が他にも2人いて、1人は職員の男性に大声で支払いを迫られ涙を浮かべていた。

 市自転車政策推進室によると、駐輪場に止めたはずの自転車が撤去されたという相談はしばしばあるという。

 市が駅前や大通りの土地を貸して民間が運営する「まちかど駐輪場」の場合、入庫1時間内なら無料で出庫可能で、ラックごとにあてがわれた番号を入力さえすれば第三者でも勝手に解錠できる。ラック外の場所は「道路」とみなされるため、放置自転車として市に撤去されるわけだ。

 現行制度で保管料が返金されるのは、撤去される前日までに警察に盗難届を出した場合のみ。被害者への救済措置は一切無いが、市は「第三者が移動させたのか本人の過失なのか立証のしようがない」とし、「年間約4万3千台を撤去している中、1件1件調査して返金に応じるのは困難」と課題を話す。

 そもそも他人の自転車を移動させた者が悪いのだが、駐輪場不足が「ラックの奪い合い」を招いている、とも考えられる。

 市は放置自転車対策の一環として駐輪場の整備を進め、2018年時点の収容可能台数は約5万6千台(民営含む)と、この10年間で約1万台増やした。ただ、駅前や繁華街は慢性的に満車状態の所もあり、地価の高騰やスペースなどの関係で駐輪場を容易に増やせないのが現状という。

 同室は「盗難対策として、まちかど駐輪場には駐輪時に暗証番号を入力する二重ロックのシステムも備える。勝手に動かされないよう自衛してほしい」と指摘。また、「自転車だと目的地の目の前に止めたがる人が多いが、少し歩けば駐輪場はある。軽く考えて放置したり人のものを勝手に動かしたりするのは控えて」と呼び掛ける。