経営者の高齢化や後継ぎの不在から休業や廃業、解散をする中小企業が増えている。

 中小経営者のうち、2025年には約6割が70歳以上になると見込まれ、次の代へ引き継げるかが大きな悩みという。ものづくりを支え、生活に身近な企業活動が縮小すれば、地域の産業や雇用に深刻な影響を及ぼしかねない。

 国は事業を承継しやすくする税優遇策を拡充し、自治体や金融機関も支援強化に乗り出している。

 経営者の「大量引退」が迫る中、地方の衰退を防ぐためにも見過ごせない課題といえよう。

 信用調査会社の調べで、18年に休廃業、解散をした企業は約4万7千件、00年以降で最多を更新した。老舗も多い京都府内では、18年度の休廃業が倒産件数の2倍近い規模に上っている。

 休廃業した企業の半数は黒字とされ、少子化や子どもが望まないといった事情で後継ぎが見つからずに事業を畳む人が少なくない。

 中小企業庁によると、25年に70歳以上になる中小経営者約245万人のうち、半数強は後継者が未定だ。放置すれば廃業が相次ぎ、10年間に約650万人の雇用と、約22兆円の国内総生産(GDP)が失われると試算されている。

 優れた技術や地域の取引先が断絶するのも大きな損失だろう。

 国は18年度から、個人事業主が子どもらへ事業を譲る際、相続税などの納税を猶予する要件を緩和する10年間の特別措置を始めた。

 さらに20年度の税制改正要望などに、親族以外の「第三者」への事業承継への包括的な支援策を盛り込む方向という。

 株式譲渡の所得にかかる税率20%の軽減のほか、外部から招く後継者候補を一定期間、試しに雇用する費用の補助などを検討している。仕事ぶりや知見を伝え、円滑なバトンタッチに役立つだろう。

 地域の支援態勢も重要だ。府県ごとの「事業引継ぎ支援センター」は、経営者の相談や譲渡先探しに当たっており、京都では18年度に21件の承継が成約したという。

 承継の加速には、関連機関の持つ情報や援助策の幅広い連携が必要だ。地元顧客を支え、資金需要を創出する上でも地域金融機関に積極的な役割が期待される。

 当然、公的支援を行う以上は、採算面など事業継続が可能なのか、譲渡益目当ての企業転売や税逃れに使われないか、一定の基準が不可欠だ。地域経済を支える観点から、丁寧な制度設計とフォローが求められよう。