1960年ローマ五輪のマラソンで優勝したアベベ・ビキラ選手が、世界の目を集めたのは裸足だったからだ。しかし、翌年の毎日マラソンを制した際、その足には日本のメーカーが提供した靴があった▼64年東京五輪でアベベ選手は世界新記録で2連覇を果たしたが、履いていたのは海外製の靴。日本のメーカーはがっかりしたそうだ。すでにスポーツの舞台裏で企業競争が始まっていた▼さて、2度目の東京五輪パラリンピック前に、にわかに注目されているのが「厚底シューズ」だ。米大手ナイキが2017年に登場させると、マラソンなど陸上競技で記録更新、メダル獲得が相次いだ▼厚底に炭素繊維のプレートを挟み込んだ反発力で、平均的シューズより4~5%速くなるらしい。正月からの各種駅伝をテレビで見ると、ピンク色の厚底靴を履いている選手が多くて驚いた▼そんな折に、世界陸上競技連盟が規制すると英メディアが報じた。公平性の面から検討しているようだ。五輪をめざすアスリートから「どっちでもいいから、早く決めて」との声が上がるのも無理はない▼かつて高速水着が記録を次々塗り替え、着用禁止になった。スポーツに科学技術を取り入れる流れは止まるまい。どこまでなら許されるのか、足元から考える時かもしれない。