口を寄せ合って縄張り争いをするキムラハナカゴオトヒメゴカイ(後藤助教、平林主任学芸員提供)       

口を寄せ合って縄張り争いをするキムラハナカゴオトヒメゴカイ(後藤助教、平林主任学芸員提供)       

 海釣りをする人には魚のエサとしておなじみのゴカイ。体が柔らかく、うねうねと動く無脊椎動物だが、その一種が縄張り争いの時に「カンッ」と音を出すことを、京都大などのグループが見つけた。指を鳴らすくらいの大きさという。イルカやクジラ、テッポウエビなど水中で音を出す動物は知られるが、ゴカイが属する環形動物で確認されたのは世界初といい、成果は米科学誌「カレント・バイオロジー」に掲載された。

 このゴカイはキムラハナカゴオトヒメゴカイ。体長2センチほどで、日本の太平洋沿岸の水深100メートルほどに生きる海綿の中で生息している。串本海中公園(和歌山県)の平林勲主任学芸員が、地元漁師から提供された海の生物を種類別に分けている際、音がすることに気づき、京大フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所の後藤龍太郎助教に連絡した。

 後藤助教と平林主任学芸員は水槽に入れたキムラハナカゴオトヒメゴカイに水中マイクロホンを近づけて録音を試みた。すると、縄張り争いで口を寄せ合い、瞬時に口を飛び出させて相手を攻撃する際に音を出していることが分かった。動画を撮影して詳しく調べると、攻撃直前に喉にある筒状の器官が細くなり、瞬時に膨張していることが明らかになったという。

 後藤助教は「音を出す詳しいメカニズムや音の役割を解明したい」としている。