介護保険制度の見直しに向けた議論が、厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の部会で本格化する。

 介護費用の膨張が今後も見込まれる中、焦点になるのはサービス利用者の自己負担増だ。

 持続可能な制度のためには給付と負担のバランスが必要だが、安易な自己負担額の引き上げは利用の抑制につながり、家族介護の負担を増やしかねない。

 介護が必要な高齢者を社会全体で支えるという制度導入の理念を見失わないよう、慎重な議論を求めたい。

 介護保険制度は3年に1度見直され、今回の議論は2021年度から3年間の事業計画に反映される。政府は年内に議論をまとめ、来年の通常国会で介護保険法を改正する予定だ。

 同審議会の資料によると、介護保険給付費は18年度で10・7兆円だが、団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者になる25年度は15・3兆円に膨らむ見通しだ。さらに高齢者数がほぼピークを迎える40年度には、25・8兆円に急増するとみられている。

 このため財務相の諮問機関である財政制度等審議会は、介護サービス利用者の負担を原則1割から2割に上げることなどを提案している。

 現在、利用者の約9割は1割のままという。既に一定の収入のある人は2割、現役並みに所得の高い人は3割になっているが、負担が2倍になれば、特に低所得の高齢者への影響が大きい。

 加えて利用者のケアプラン(介護計画)をケアマネジャーが作成する場合、有料化することも求めている。負担が膨らめば、利用控えが進み、症状が悪化することも懸念される。

 それでなくても、65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は増え続けている。全国平均の月額は現在約5900円。制度が始まった00年当時の2倍超だ。

 保険料を支払えずに資産の差し押さえ処分を受けた高齢者は16年度に1万6千人もいた。低年金で預貯金などが少ない人も多く、滞納分を回収できたのは1万人ほどだ。利用者の負担増については低所得者への十分な配慮が欠かせない。

 負担増のほかにも、保険料を支払う年齢を現行の40歳以上から引き下げることの是非など論点は多岐にわたる。公費負担のあり方や介護人材の確保なども含め、「介護の社会化」という原点に立ち返った丁寧な議論を進めてほしい。