夏休みが明ける頃、子どもの自殺が増えるという実態が明らかになったのは近年のことだ。浮かない顔をしている子はいないか。周囲の大人が目を配りたい。

 全世代の自殺者総数は減り続けているのに、少子化が進む中で10代の自殺は逆に増えている。特に9月1日をピークとして、その前後で命を絶つ小中高生が多い。

 政府の2019年版自殺対策白書によると、18年に自殺した19歳以下は599人で、前年から32人増えた。「自殺死亡率」は統計を取り始めた1978年以降で最悪である。

 厚生労働省がまとめた17年の人口動態統計では、日本人の10~14歳の死因として自殺が戦後初めて1位となった。

 深刻な状況に歯止めをかけなくてはならない。文部科学省は「学校再開が精神的な負担になっている可能性がある」とし、教育現場に対策を促している。

 いじめなどの悩みを抱える児童生徒の早期発見に努めるほか、気を配る必要がある子については、夏休み中も家庭と連携して見守りをするよう求めている。

 民間の相談窓口も対応を強化している。チャイルドライン=(0120)997777=は9月4日まで、電話相談の対応時間を通常より延長している。

 会員制交流サイト(SNS)を活用した相談にも多くの自治体や民間団体が乗り出しており、さらに拡充が急がれる。

 白書によると、10代の自殺で特定できた原因・動機のうち最も多かったのは「学校問題」で、内訳は学業不振や進路の悩み、学友との不和などだった。さらに「健康問題」「家庭問題」と続く。

 気掛かりなのは、特に10代前半の自殺について他の世代ほど原因解明が進んでいないことだ。

 「動機不明」の比率が高い。未遂歴もなく、周囲が予兆に気づかないうちに突発的に自殺するケースが目立つ。より詳しい実態把握や検証が求められる。

 「自宅で『このまま夏休みが終わらなければいいのに』と話したことがある。SOSだったのかもしれない」―。中学2年の娘を自殺で亡くした父親が東京都内のトークイベントで振り返った。

 大人が異変に目をこらす一方、SOSの出し方や相談窓口を子どもに教える必要もあるだろう。

 「あなたは大切な存在」と寄り添いたい。学校がつらければ無理をせずに休むことも選択肢の一つだと伝えることも大切だ。