子どもの養育のため仕事を休む育児休業の取得率は、厚生労働省の2018年度調査で女性が82・2%に上るのに対し、男性は6・16%にとどまる。圧倒的な男女差が一向に縮まらない。

 制度は整っているが、実際は人手不足や周囲への遠慮から「休みたくても使えない」という声が多い。

 取得を後押しするため、厚労省は、より積極的に男性の育休促進に取り組む企業への支援策を拡充する方針を決めた。

 少子化対策や女性の活躍推進の観点とともに、誰もが家庭生活の充実と両立できる働き方や職場環境への見直しが求められよう。

 政府は、男性の育休取得率を20年に13%とする目標を掲げる。12年度の1・89%から年々伸びているが、まだ遠く及ばない。

 国連児童基金(ユニセフ)は6月、先進国中心に41カ国の子育て支援策の報告書をまとめた。賃金が補給される出産休暇・育児休業期間の長さで、日本の制度は男性で1位と評価される一方、「実際に取得する父親が非常に少ない」と特異性が指摘された。

 厚労省の委託調査によると、男性社員が育休を取得しない理由は「業務が繁忙で人手が足りなかった」「取得しづらい雰囲気」が目立っている。

 根強く「男性は仕事優先」という意識が残る中、休むと周りの人に負担がしわ寄せされることへの気兼ねがうかがえる。

 同省の支援拡充策は、管理職研修や個別に働き掛けをした企業への助成制度に加算要件を設ける。より積極的な取り組みに中小企業は男性取得者1人当たり10万円、大企業には5万円を上乗せする。

 今後に詰める対象要件では、取得期間に目を配ってほしい。女性の育休期間は10~18カ月が60%強だが、男性の取得者は5日未満が36%、5日~2週間未満が35%と大半が短期だ。より長い取得を促すとともに、分割でも取得できる弾力的な制度拡充も必要だろう。

 一方、大手メーカーで育休明けの男性社員が転勤や子会社出向の嫌がらせを受けたとの訴えが相次ぎ、問題となっている。育児や親の介護、地域活動などの事情への配慮を欠き、貴重な戦力を失うことになれば企業にとって損失だ。優秀な人材獲得にも逆風となろう。

 経営陣、管理職をはじめ社内の意識改革を進め、安心して育休が取れるよう職場での業務共有や要員の融通に工夫を凝らしたい。中小企業は人手が限られており、きめ細かな援助が必要だろう。