笠置山での楠木正成と後醍醐天皇を再現した人形。正成親子を主人公とした大河ドラマの誘致活動が進められている(笠置町・笠置産業振興会館)

笠置山での楠木正成と後醍醐天皇を再現した人形。正成親子を主人公とした大河ドラマの誘致活動が進められている(笠置町・笠置産業振興会館)

正成親子の大河ドラマ実現を求める署名の投函箱(八幡市役所)

正成親子の大河ドラマ実現を求める署名の投函箱(八幡市役所)

 鎌倉末期の武将・楠木正成(まさしげ)と正行(まさつら)親子を主人公とした大河ドラマの放送実現に向け、誘致活動が近畿一帯で広がっている。楠木家の本拠地である大阪府南部の市町を中心に、京都府の山城地域からは笠置町と八幡市が参加。「郷土ゆかりの武将を通じ、地域の歴史に誇りを感じてもらう契機にもなる」と署名活動などが展開されている。

 正成は、南朝の後醍醐天皇に従い、名将として活躍したことが「太平記」などに描かれている。
 大河ドラマの誘致運動は、正成の菩提寺や首塚などがある河内長野市が呼び掛け、2018年に「『楠公さん』大河ドラマ誘致協議会」を設立した。「大河ドラマで取り上げられれば、交流人口の拡大やまちの活性化にもつながる」(同市)とし、PRや要望活動などを展開。正成親子ゆかりの地を巡る「楠公ツーリズム」も推進している。
 協議会には、大阪府内を中心に、正成が戦った中国、四国地方や南朝が置かれた奈良県などの計58自治体がこれまでに加盟した。京都府内からは、京都市など3市町が加わっている。
 笠置町は、笠置山で籠城中の後醍醐天皇が正成の存在を暗示する夢を見て、正成を呼び寄せるきっかけになったとされる地だ。
 同町は「正成にちなむ歌が伝わるなど、親しみを感じる町民も多い。『太平記』(1991年の大河ドラマ)でも舞台になったが、もう一度スポットが当たれば、まちの誇りや自信にもつながる」と期待する。河内長野市とともにNHKへ要望活動にも赴き、歴史や文化を生かした観光誘致につなげたい考えだ。
 一方、八幡市も石清水八幡宮に正成が戦勝祈願で植えたとされるクスノキが残るほか、同宮境内にあった護国寺の再建供養に後醍醐天皇と正成が参列したとされるなど、ゆかりが深い。正成死後も南北朝間の「正平の役」の戦場となったことを伝える石碑も点在している。
 同市は今月から、協議会の一員として市商工観光課の窓口などに署名用紙と投函(とうかん)箱を設置。「八幡にゆかりのある中世のサムライヒーロー『楠公さん』のドラマ化にご協力を」と呼び掛けている。
 今月から放送が始まった明智光秀を主人公とする大河ドラマ「麒麟が来る」は、2010年から京都府内の福知山市や亀岡市、長岡京市や大山崎町などが誘致活動に取り組んできた。ドラマ実現には長期戦も予想されるが、観光の起爆剤として寄せられる期待は大きい。