インターネット上でデマを流したり憎悪をあおるのは犯罪行為になりうる。

 そうした投稿を拡散することも、犯罪に加担することになる。

 それにもかかわらず、悪質な偽情報の発信が続いている。

 京都市伏見区の「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオの放火殺人事件では、容疑者と在日コリアンを無根拠に結びつける投稿や書き込みが目立つ。

 事件発生直後から会員制交流サイト(SNS)には「犯人は在日韓国人。日本から出て行け」などとする書き込みが相次いだ。

 複数のブログは「犯人は在日韓国人?」などとする記事を相次いで掲載した。

 いずれもアクセス数に応じて広告収入を得る形式だ。現在は削除されているが、ブログ運営者は無根拠の情報を広めて収入を得たことになる。

 2016年施行のヘイトスピーチ対策法には罰則規定がない。特定の個人でなく、「在日韓国人」といった不特定の枠組みを狙ったヘイトスピーチを取り締まるのは難しいのが現状だ。 

 同法の施行で街頭や公的施設などでのあからさまなヘイト活動がしにくくなり、SNSや動画投稿サイトに流れているという指摘もある。いずれも、対象の尊厳を深く傷つける。

 サイトの管理者や広告を出す側は、明らかに根拠のないデマやヘイト情報を厳しく監視してもらいたい。

 問題なのは、偏見や差別を助長する情報発信をいさめるべき政治家が、逆にあおるような役割を果たしていることだ。

 大阪市の松井一郎市長は、愛知県で開催中の芸術祭に従軍慰安婦を象徴する少女像が展示されたことに触れ、従軍慰安婦を「完全なデマだ」と明言した。

 慰安婦問題について、日本政府はおわびを表明している。

 悪化する日韓関係に関し、安倍晋三首相に近い政治家からは日本の過去の侵略を正当化するような発言やSNS投稿が相次ぐ。投稿にはさらに在日コリアンを侮辱するコメントが付く事態になっている。

 常磐自動車道のあおり運転では、容疑者と無関係な女性が「同乗していた」とツイッターで名指しされ、写真まで拡散された。

 女性は発信や拡散に関わった人を特定し、損害賠償請求訴訟や刑事告訴に踏み切るという。

 情報発信には常に責任が問われるということを自覚したい。