東京パラリンピックの開幕まで25日で1年となり、表彰メダルの披露や競技を親子らが体験する記念イベントが週末に開かれた。

 これから運営の課題を洗い出すテスト大会や、日本代表の選考が本格化する。いっそう機運が高まっていくのを期待したい。

 16回目を数える障害者スポーツの祭典が目標とするのは「共生社会」である。一過的な盛り上がりを追うばかりではない。

 活躍する選手だけでなく、障害の有無を含め互いの違いを認め、支え合う社会づくりをどう根付かせていくかが問われよう。

 東京パラ大会は、22競技540種目に過去最多の4400人が参加する。バリアフリーに配慮した競技場が次々に完成し、周辺やアクセス面の整備が進んでいる。

 一方で、選手村を除いた宿泊施設では、訪れる車椅子利用者に対応した客室が、必要見込み数の65%程度と不足している。

 東京以外にバリアフリー化が大きく波及しているともいいがたい。大会を契機に、各地域のインフラを誰もが使いやすいかどうか点検し、対応を加速させたい。

 競技そのものの普及や、競技者の環境も十分とはいえない。

 大会は回を追うごとに競技レベルの向上が著しく、認知度も上がりつつある。東京招致の決定後は官民の支援が拡大し、競技に専念できる形で選手を雇用する企業も増えた。

 だが、大会出場を目指す選手を対象にした共同通信社のアンケートで、約6割が大会後にパラ競技への関心が薄れる不安を抱き、待遇面の維持を心配する選手も5割近くいた。

 22日に始まった大会観戦チケット申し込みの初日アクセス数は約11万件で、五輪の10分の1に満たない。一般的な関心に大きな差があるのが現状だ。

 大会や広く体験イベントなどで競技の魅力を伝えつつ、競技力の維持と競技人口の拡大に向けた支援を継続的に行いたい。

 公共スポーツ施設でも、指導者の不足などから地域の障害者の参加を促すプログラムを実施しているのは少数という。選手ら競技者の経験も生かし、参加の裾野を広げる取り組みが重要だろう。

 高齢化が進む中、身体の衰えや不自由さを抱えるお年寄りは増えるだろう。リハビリから発展したパラ競技の普及は、多様な人々が普通に暮らし、それぞれに合ったスポーツも楽しめる社会全体のバリアフリーにもつながるはずだ。