藤野家住宅の玄関間(京都市中京区)

藤野家住宅の玄関間(京都市中京区)

旧湯本家住宅の墨囚窟(上京区)

旧湯本家住宅の墨囚窟(上京区)

京の夏の旅文化財特別公開の公開場所

京の夏の旅文化財特別公開の公開場所

 京都市と市観光協会の夏の観光キャンペーン「京の夏の旅」の文化財特別公開が行われている。上賀茂神社(北区)や仁和寺(右京区)など9カ所から初公開や創始1150年の祇園祭関係の「京町家・旧宅」に注目してみた。

 初公開の一つは「藤野家住宅」(国登録有形文化財、中京区)。京都御苑(上京区)南側の高倉通に面して高い塀を構えた典型的な「大塀造(だいべいづくり)」の町家の秀作だ。門を入ると平屋の表側棟、奥に2階建ての居住棟などがある。表側棟の4畳半は茶室を兼ねた玄関間で数寄屋風の意匠。前庭が露地になっている。

 大正時代の建築で1階の4室と2階の1室が見学できる。祖父が建てた家を守ってきた藤野正弘さん(71)は「祖父は当時の教養だった茶の湯や謡をたしなみ、それが建物にも生かされている。玄関間が特に気に入っている」と話す。

 もう一つの初公開「旧湯本家住宅」(上京区)は臨済宗相国寺派大本山・相国寺の総門近くに立つ。平安京の復元研究などで功績を残した歴史家、湯本文彦(1843~1921年)がついのすみかとして明治時代に建てたとされる。市の「京都を彩る建物や庭園」に認定されている。

 木造平屋で大徳寺塔頭・真珠庵(北区)の「庭玉軒」を模したといわれる茶室や床柱に浄瑠璃寺(木津川市)の古材と伝わる丸柱が使われた4畳半の「墨囚窟(ぼくしゅうくつ)」が見どころだ。茶室には自作の茶碗をはじめ釜や茶杓などの優品も展示する。墨囚窟は墨作りで使われる墨型をふすまの引き手に活用するなど随所に趣向が凝らされている。藤野家、旧湯本家住宅とも9月1日から公開が始まる。

 祇園祭関係では北観音山の町内の町家「吉田家住宅」(国登録有形文化財、中京区)。通りに面した店舗棟から「通り庭」と呼ばれる土間に沿って玄関棟や住居棟などが続く「表屋造」で、よし戸など夏のしつらいに触れられる。伯牙(はくが)山の町内で市内最大規模の表屋造の町家「杉本家住宅」(重要文化財、下京区)とともに公開中だ。

 市観光協会は「藤野家、旧湯本家住宅はあまり知られていないが、後世に残したい建築物。近年、取り壊される町家や旧宅が増えており、特別公開を通して多くの人に関心を持ってほしい」としている。

  ◇

特別公開の期間や料金は次の通り。

(1)上賀茂神社(北区上賀茂本山)本殿・権殿

(2)下鴨神社(左京区下鴨泉川町)本殿・大炊殿

(3)仁和寺(右京区御室大内)金堂・経蔵

   以上は9月30日まで(仁和寺は2~9日は拝観休止、9月23日は正午から)。大人600円、小学生300円

(4)仁和寺観音堂

   9月1日まで。大人千円、高校生以下無料

(5)旧三井家下鴨別邸(左京区下鴨宮河町)

   8月27日まで(21日は休館)。大人600円、中高生400円、小学生300円

(6)旧湯本家住宅(上京区相国寺門前町)

(7)藤野家住宅(中京区高倉通竹屋町上ル)

   以上は9月1~30日(藤野家は6日見学休止)。大人600円、小学生300円

(8)吉田家住宅(中京区新町通六角下ル)

(9)杉本家住宅(下京区綾小路通新町西入ル)

   以上は9月30日まで(杉本家住宅は9月16、23、30日を除く月曜と8月20、27日、9月5、17、24日は休館)。大人800円、小学生400円

※公開は午前10時~午後4時半(仁和寺観音堂は午前9時半から、旧三井家下鴨別邸は午前9時~午後5時。受け付けは閉館30分前に終了)。見学は靴下着用(ストッキング不可)

問い合わせは京都市観光協会075(213)1717へ。