映画「劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」のパンフレット

映画「劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」のパンフレット

 京都市伏見区のアニメ製作会社「京都アニメーション」第1スタジオが放火され、男女35人が死亡した事件で、京都府警捜査本部は27日、残る亡くなった25人の氏名を公表した。人気アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」でキャラクターデザインを担当した寺脇(池田)晶子さん(44)の名前も含まれていた。さりげない日常に輝きと色彩を、夢を分かち合う仲間と過ごすアニメのキャラクターを生み、その動きに命を吹き込んできた。

■2児の母親、気さくな性格 仕事には人一倍厳しく

 「涼宮ハルヒの憂鬱」は、突飛な行動をするハルヒ、宇宙人や時間旅行者だと名乗る女子高生らに振り回される「普通の」男子高校生キョンが主人公の人気アニメ。個性あふれるキャラが繰り返す日常と青春を駆け抜けた。

 池田さんは2児の母親で、気さくな性格の一方、仕事には人一倍厳しかった。京都の北宇治高校(架空)吹奏楽部の人間ドラマを描いた「響け!ユーフォニアム」シリーズのキャラクターデザインを手掛けるなど、京アニの作品作りになくてはならない存在。元社員の男性は「作品の質へのこだわり、職人としてのこだわりがすごかった」と話し、早すぎる死を悼んだ。

 「響け!」シリーズでは、健康的な少女のキャラクターを描き出した。思春期特有のこまやかな感情を表現する「京アニクオリティー」を確立した一人と評される。

 池田さんは、2016年公開の映画「劇場版響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ」のパンフレットで、同作品を漢字一字で表すなら「生(せい)」と答え、「頑張ることとか、人に対して思うこととか、全部ひっくるめて、その瞬間を生きている熱っぽさみたいな…。躓(つまづ)いたり失敗したり、一生懸命生きているからこそのその瞬間!って感じ」と表現した。京アニの元社員によると、池田さんは原画を統括。作品の全カットに池田さんの手が加わっているほどで線1本まで修正する念の入れようだった。一貫して丁寧さにこだわる京アニを支える「職人」。「休日も作業に当たっていた」

 昼休みになると、他部署に遊びに行き、気軽に話し掛けて場を和ませていた池田さん。別のパンフレットで「作品世界を構成するキャラクターの一人一人をスタッフみんなが大切に描いてくれています」と語り、皆の思いを代弁していた。

 「私が仕事で落ち込んでいる時に声を掛けてくれたのが池田さんだった」。元社員は生前をしのび、涙ぐんだ。