退任後も、実権を握り続けるつもりだろうか。

 ロシアのプーチン大統領が、国家の権力機構について大幅に見直す憲法改正案を、連邦議会下院に提出した。

 大統領が任命している首相について、下院の承認で選び、首相が提案した閣僚を大統領は拒否できないとする。また、治安機関トップの任命においては、大統領が上院と協議する、としている。

 大まかにいって、大統領の権限を抑制し、下院などに移譲する内容である。

 対立する議会を武力制圧したエリツィン政権期に採択された現行憲法は、大統領に強大な権限を与えた。これを見直して、政府、議会、司法とのバランスを取る狙いがあるという。

 一方で、プーチン氏は、2024年に大統領の任期切れを迎える際に、後継者の権限を弱めておくと、退任後も影響力を行使しやすくなる。

 そんな権力機構を構築するのであれば、「院政」と呼ばれても仕方ないだろう。

 改憲案には、今は大統領の諮問機関にすぎない「国家評議会」を国家機関と位置づけ、その地位と権限を憲法に明記することも盛り込まれた。退任後のプーチン氏が議長となり、実権を維持していく可能性が指摘されている。

 00年の大統領選で初当選したプーチン氏は、任期を連続2期までとする憲法の規定に基づき、いったんは退任した。しかし、首相に転じた後、任期を4年から6年に延ばしたうえで、12年に大統領に復帰した。

 事実上、約20年にわたってロシアを支配している。

 指導者の退任規定がなかった前身のソ連では、1980年代に指導部の高齢化が進んだ。当時のブレジネフ共産党書記長らは在職のまま死亡し、社会の停滞を招いたと批判されている。

 あまりにも長期間、支配を継続すると、同様の事態をもたらす危険性があろう。国民の反発も予想される。この際、体制を一新することも選択肢とすべきだ。

 ロシアは2014年、ウクライナ南部クリミア半島を制圧し、国際的に批判を浴びた。憲法改正案には、「憲法に矛盾する国際条約は国内で実行されない」とある。

 このままでは、排外主義的な傾向を、ますます強めそうだ。

 北方領土問題に悪影響を及ぼさないか、今後の動向を日本も注視していかねばなるまい。