湖国の企業の中には「推しメン」ならぬ、環境保全のシンボル「推しトンボ」がいると知って驚いた。聞けば、滋賀県は全国に生息する約200種の半数が確認された「トンボの宝庫」らしい。だが近年は減少が目立ち、絶滅危惧種も出てきた▼「滋賀のトンボを救え」と県内に拠点を持つ4社が立ち上がったのが2016年。専門家も協力し、工場内や周辺で生息調査に乗り出した。現在8社でつくる「生物多様性びわ湖ネットワーク」の企画「トンボ100大作戦」が琵琶湖博物館(草津市)で開かれている▼広大な事業所内は実は自然豊かで、県希少種マイコアカネも見つかった。「外来種や農薬が少なく、昔の里山に似た環境もある。開発側と思われがちな企業が生態系を守る核になり得る」と環境コンサルタントの牛島釈広さん(40)は期待する▼各社内の協力機運も高まり、ため池復元や屋上ビオトープ整備、草刈り時期への配慮のほか、住民参加の観察会も催す▼「虫嫌いだったのに捕虫網も買って、今では飛ぶ生き物を見たらトンボかなと気になる」。事務局を担う積水樹脂(竜王町)の稲垣和美さんは笑う▼トンボの行動域は広いため、点ではなく面的な保護が必要。まだ参加企業のない湖西エリアなど、幅広い事業所の協力を呼び掛けている。