来年4月の開始まで7カ月と迫っているのに、受験生の不安は高まるばかりだ。

 大学入学共通テストに導入される英語民間検定試験の利用を巡り、全ての学部や選抜区分で「未定」とした四年制大学が204校に上った。

 英語民間試験の関連情報を集約するサイトの開設に向けた文部科学省の調査で分かった。未回答も22校あり、利用の有無が明らかになっていないのは全体の3割を占めている。

 そもそもサイトは、情報が足りないと訴える高校現場の声に応えて開設された。全国高等学校長協会が異例の要望書を提出したことがきっかけで、各大学の取り組みなどを一覧できるようにした。

 その結果、大学側も試験実施団体も十分な準備ができていない現状が浮き彫りになった。

 一部試験の申し込み開始は9月に迫っている。「来年4月に始められるとはとても思えない」「不安が払拭(ふっしょく)されるまで実施を見送るべき」との声が現場から出ているのはもっともだ。

 「受験生や先生方に不安が生じないよう、このタイミングで公表させていただいた」と柴山昌彦文科相は述べたが、混乱する現場の認識とかけ離れていないか。

 制度設計をした文科省は責任を持って事態の打開に取り組むべきだ。

 英語民間試験の導入は、大学入試センター試験に代わる新テストの柱として2年前に公表された。当初から、受験機会や評価の公平性などに懸念が示されてきた。

 今のマークシート式では語学力の「読む・聞く・話す・書く」の4技能のうち「話す・書く」は測れない。そうした改革の意義は理解できるとしても、なぜ民間試験となるのか、根本的な理由はなお分かりにくい。

 制度の細部が具体化するたびに課題が生じ、有効な対策のないまま進んできた印象がある。

 東京大が合否判定に英語民間試験を使わないと表明。さらに対象試験の一つ「TOEIC」の運営団体が参加を取り下げた。

 「情報が出そろっていない中では決断できない」―。現時点で利用は「未定」とする大学側の事情も一定理解できよう。

 文科省は、マーク式との併存期間を経て2024年度から民間試験に全面移行するとしているが、再検討が必要ではないか。

 「見切り発車」で受験生を困らせてはならない。残された時間はないことを理解するべきだ。