来年2月2日投開票の京都市長選の告示まで、19日で2カ月となった。市民147万人の「明日」を、有権者は誰に委ねるのか。激戦が予想される選挙構図と今後の展望を探る。

自民党が門川氏(右から2人目)を府連推薦した経緯を説明する伊吹氏(左端)=17日、京都市左京区

 10月下旬、上京した京都市長門川大作(68)は永田町へ足を運んだ。議員会館の一室。居並んだ自民党京都府連の国会議員たちに詰め寄られた。「今まで何をしてきたのか、これから何がしたいのかを聞きたい」

 門川は以前から自民などの関係者に4選に向けて立候補したいとの考えを伝えていた。だが、過去2回の市長選を主導した自民サイドは容易に首を縦に振らない。東京での面会の数日後、門川は重ねて強い決意を文にしたため、府連に提出した。府連の推薦決定は今月9日までずれ込んだ。

 「門川さんの熱意にほだされて推薦を決めた。そのことを肝に銘じてほしい」。17日、自民府連が市内で開いた政治資金パーティーで、門川と壇上に立った府連最年長の衆院議員(京都1区)伊吹文明は手放しの支援ではないことを暗に強調した。

 自民は党要綱で政令指定都市長選の党本部推薦を「3期12年まで」と定める。自民内には多選の弊害のほか、前市長の桝本頼兼から市教育委員会出身の市長が23年続くことにも不満がくすぶる。今以上に市の公共事業支出を増やすべきとの声も根強い。

 それでも府連推薦を決めたのは、近年にない選挙情勢のためだ。過去2回は「国政与野党相乗り対共産党」で事実上の一騎打ちが続いたが、今回は共産と市民団体が推す弁護士福山和人(58)に加え、地域政党京都党前代表の市議村山祥栄(41)もいち早く立候補を表明し、3極を軸とする構図が確定的だ。2008年、新人だった門川と村山を含む4人が立候補し、門川が共産推薦候補に951票差に迫られた「薄氷勝利の市長選」と酷似する。福山は昨年の京都府知事選に立候補して市内で善戦した経過もあり、「知名度のない新人では勝てない」(自民府連関係者)との警戒が強まった。

 公明党や旧民主党系の立憲民主党と国民民主党も、共に3選を支えてきた自民の動きを踏まえて推薦手続きを進める。ただ、福山と村山が「市民派」を掲げて各党に支援を求めるなど新たな動きが出る中、「(門川は)4期目で新鮮味や決め手に欠ける」(立民府連幹部)との不安が漏れる。

 門川が「武器」とするのが、3期12年の実績だ。立候補を表明した今月8日の会見では数値を示して財政再建や経済活性化をアピールした。多選批判についても「謙虚に受け止めれば弊害は起こらない。それ以上に実績を生かすことができる」とかわした。12年で約1万カ所の事業所や集会に顔を出し、「市民の声を吸い上げて政策に反映させてきた」との自負もある。

 一方、「国会議員にも市民にも実績が十分伝わっていない」(市幹部)との危機感も強い。神経をとがらせるのが財政と観光だ。特に、観光は宿泊施設の急増や一部地域の混雑といった負の側面が目立ち、消費額の増加などの成果はかすみがちだ。福山と村山も観光政策を声高に批判しており、争点に浮上してきた。市は20日、「市民生活との調和」をうたう新たな観光政策を発表する。

 18日、中京区のホテルで医師や保育士などの業界団体から推薦状を受け取った門川は、観光問題の解決に意欲を示した上で、切迫感をにじませた。「4期目で総仕上げをさせてほしい。極めて厳しい戦いになる」(敬称略)