来年2月2日投開票の京都市長選の告示まで、19日で2カ月となった。市民147万人の「明日」を、有権者は誰に委ねるのか。激戦が予想される選挙構図と今後の展望を探る。

支援者と並んで立候補表明する福山氏(中央)=11日、京都市上京区

 京都市長選に立候補する弁護士福山和人(58)は17日、下京区で街頭演説に立った。現市政を鋭く批判した後、「インスタ映え」を狙ったフレーム型のボードを手に支持者らと記念撮影を始めた。

 写真はSNS(会員制交流サイト)などで拡散している。「市民一人一人がメディアになってもらい、候補者との近さが伝わることを意識した」と、福山の選挙母体「つなぐ京都2020」共同代表の西郷南海子(32)は明かす。市民グループとともに福山を推す共産党京都府委員会の幹部も「我々が思いつかないアイデアを提示してくれる」と満足げに話した。

 福山は昨年4月、共産推薦候補として府知事選に挑み、国政与野党相乗りで当選した西脇隆俊に善戦した。左京区では西脇を上回るなど京都市内で約17万票を得て、約2万5千票差まで詰めた。これまで長く「転換」を声高に叫んだ共産推薦候補の戦術を自ら主導して見直し、「変えるべきところは変える」と新機軸を見せたことで、共産と距離を置いてきた市民グループも味方に付けた。

 今回も福山は「市民」との連携を押し出す。11日の立候補会見では、環境や福祉分野の市民グループのメンバー約80人が同席し、それぞれ目指す京都の姿を書いたボードを掲げる演出にこだわった。

 表明までは曲折を経た。共産や労働組合でつくる民主市政の会などが選考に動きだした5月以降、対等の立場で加わった市民グループから「候補者選びは市民にとって密室だった」「選挙は党利党略なのか」と率直な疑問が噴出した。福山は当初から名前が挙がっていたが、「府知事選で落選したから市長選というのは、有権者の理解を得にくい」との意見もあり、大学教授やNPO法人理事ら複数に立候補を打診した。

 市民グループは「野党共闘」に強くこだわった。4月の京都市議選に無所属で立候補した白坂有子(62)と西郷らは10月初旬、国政野党の立憲民主党や国民民主党の府連幹部と相次いで面談したが、現職の門川大作(68)を支援してきた枠組みは容易に崩れない。選考も中断し、過去には市長選前年の夏までに候補者を決めて大型選挙と連動させた時代もあった共産側には「間に合わない」と焦りがにじんだ。表明は3人の立候補予定者の中で最も遅くなった。

 さらに、選挙が迫れば自民党などは「共産市長になれば市議会は与党が少数になり、市政は確実に混乱する」と訴え、福山サイドを「共産隠し」と攻める構えだ。市議の村山祥栄(41)も「市民派」を掲げ、無党派層を取り込む思惑が重なる。福山選対のメンバーは「確かに市民側には共産カラーが強まることを嫌がる人もいるが、一致団結しないと対抗できない」と危機感を募らせる。

 3極対決が軸となる中、市長与党内で門川支援に後ろ向きな声がくすぶり、村山の参戦が保守層をかき乱す。間隙(かんげき)を突く福山には新勢力がつく。7月の参院選で議席を得たれいわ新選組が支援する方向だ。過去の共産推薦候補が越えられなかった壁を突破できるか。「幅広くハートに響くよう訴える」。意気込む福山自身が、候補者として選挙で主導力を発揮できるかが鍵となる。(敬称略)