立岩が見える大成古墳周辺を電動アシスト自転車で走るツアー参加者たち(昨年11月、京丹後市丹後町)

立岩が見える大成古墳周辺を電動アシスト自転車で走るツアー参加者たち(昨年11月、京丹後市丹後町)

 全国で自転車を活用した観光「サイクルツーリズム」に注目が集まる中、京都府の丹後半島でも昨秋、「京都オーシャンロード」と銘打ったサイクリングイベントが企画された。電動アシスト自転車に特化したツアーで、先行する他地域と差別化したい考えだ。自転車の聖地になれるか。課題を探った。


 「丹後半島は景観に変化があり、しまなみやビワイチに負けない魅力がある」。22日に開かれた報告会を前に、伊根の舟屋や夕日ケ浦などツアーの舞台となった場所を視察した東京の業界関係者が将来性について言及した。
 サイクルツーリズムは近年、健康志向や地域の魅力をじかに味わえる良さなどを背景に自治体が注力し急速に広まりつつある。一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパンの「サイクリスト国勢調査2018」によると、直近1年間で推計1500万人超が経験し、市場規模も年間約1256億円にのぼる。
 国も自転車活用推進法を制定し、昨秋に瀬戸内海の島を結ぶしまなみ海道や琵琶湖を一周する「ビワイチ」などを「ナショナルサイクルルート」に認定するなど後押しする。
 丹後半島では、府が昨年度からサイクルラックなどのハード整備を始め、観光事業者らと実行委員会を結成した。昨秋の初企画では伊根の舟屋や夕日ケ浦、久美浜湾など8コースを電動アシスト自転車で巡るツアーを催した。特化した狙いは初心者でも楽に移動できる点やエリアとして取り組んでいる地域がまだ少ない点という。
 ツアー自体は海岸沿いの風景や食を楽しめることもあり参加者からは好評だった。すでに通年で取り組まれていた伊根町の企画は約200人が参加したが、天候不良や募集期間が短く申し込みがないものもあった。府丹後広域振興局企画振興室の福井誠副室長は「サイクリングツアーが浸透しておらず、期間限定の企画や宿泊とのセットはまだ厳しかった」と、認知度向上を課題に挙げる。
 電動アシスト自転車による観光はコスト面にも課題がある。1台当たりが高額で、充電ステーションなどのハード整備も必要となる。同じく特化して聖地化を目指す伊豆半島では、メーカーと提携するなどし、すでに50カ所を超える充電網を築いている。
 府や実行委員会は2年後までに、電動アシスト自転車50台の稼働と、レンタルステーション10カ所の設置を目標に掲げる。車や鉄道を補完する新たな観光の移動手段になるには民間の盛り上がりに加え、官民一体となった連携が求められる。