戦時中の出来事を中心に半生を振り返る自伝を出版し「若い人に読んでほしい」と語る中嶋さん(京都市北区)

戦時中の出来事を中心に半生を振り返る自伝を出版し「若い人に読んでほしい」と語る中嶋さん(京都市北区)

 京都市北区に住む98歳の会社会長が、このほど自らの半生を振り返った自伝を出版した。海軍技術大尉として、京都府舞鶴で軍務に就いていた戦時中の出来事を中心に克明に記した。「若い人たちに読んでほしい。後生に生きる人の役に立てば」としている。
 非鉄金属製品を扱う商社「京都黄銅」=東山区=の中嶋俊雄会長(98)。親交のあった「ふたば書房」=中京区=の洞本昌男会長(80)から「戦争体験を語れる人はもはや数少ない」と背を押されて出版を決意。足かけ2年にわたって、洞本会長に語った内容を文章に起こした。
 京都市出身。福井高等工業学校(現福井大)を3年で繰り上げ卒業となる1941(昭和16)年から始まり、海軍の幹部級「技術士官」の試験に合格、やがて舞鶴海軍工廠(こうしょう)に赴任し、水雷製造に携わった。「同僚にはシンガポールやジャワ島に行かされたり、終戦後に旧ソ連で抑留されたりした者もいた」と話す。
 入隊直後の訓練から、舞鶴での仕事や暮らし、終戦直後の混乱など、今も記憶は鮮烈だ。45(同20)年7月の舞鶴空襲についても証言。中嶋さんが管理する水雷工場でも機銃掃射を受け、学徒動員で出勤途中だった女学生たちが数人犠牲になった。「かわいそうだった。戦争にきれいなことは一つもない」
 軍隊では「当たり前だった」という暴力についても触れ、抵抗できない者を一方的に殴る行為への嫌悪を記した。「上官から『気合を入れる』と暴力を受け続けた兵士が出世すると、今度は自分の部下にも暴力を振るうようになる。およそ合理的ではないし、悲しいこと」と話す。
 終戦後の混乱から起業にいたる歩みも。「海軍技術大尉 中嶋俊雄の記録」はふたば書房刊。四六判、159ページ。1400円(税別)。