住民のマイナンバーを扱うシステムの管理が一部の自治体で徹底していないことが、会計検査院の調べで分かった。

 個人情報漏えいの懸念が、国民の中にくすぶっているだけに、見過ごせない問題だ。

 総務省は全自治体に情報セキュリティーの確認を求めたが、それでは足りない。なぜ現場で管理が行き届かないのか検証が必要だろう。

 検査院が調査したのは、国の補助金でセキュリティー対策事業を実施した18都道府県と223市区町村。マイナンバーを扱うネットワークは、他と切り離し、パソコンも外部に情報を持ち出せないように設定しないといけない。しかし、13の自治体では一部のパソコンで実施されていなかった。

 また、こうしたパソコンを使う際は、職員の本人確認のためにICカードや暗証番号、指紋のうち二つを用いる「2要素認証」が求められているのに、12の自治体で導入していなかった。

 個人情報の流出の有無を調査していないのは疑問だ。個人情報を大事に扱う意味で、調査し結果を公表すべきではないか。

 政府はマイナンバーカードの取得を呼びかけているが、人口に対する取得率は昨年8月時点で13・8%にとどまっている。内閣府の調査で、取得しない理由を「個人情報の漏えいが心配」と27%の人が答えており、カードの普及が進まない背景に制度やシステムへの不信がうかがえる。

 実際にトラブルが相次いでいる。18年末には国税局のマイナンバーを含む個人情報69万件が入力委託先とは別の会社に無断で再委託され、管理の甘さが露呈した。滋賀県ではマイナンバーが記載された書類を紛失、福知山市でもマイナンバー情報を外部業者に誤送信している。

 そうした中で、政府はマイナンバーカードの活用拡大を図ろうとしている。納税や社会保障に加え来年3月には健康保険証としての利用を始め、10月にはスマートフォン決済と連携して買い物でポイントが付く制度をスタートさせる。

 「国民生活の利便性を高める」とメリットを強調するが、システム拡張に伴う巨額コストに見合う効果があるのか。何より情報の安全管理は大丈夫なのか。外部への委託も少なくない。一部自治体の管理不徹底で済む問題だろうか。

 大切な個人情報の管理に不安が残る限り、いくら政府がカード取得を呼びかけても、普及はおぼつかない。