色づく肌 薫る

 しなやかな手、豊かな髪、華麗な着物。古来、美人画は描き手と見る側の双方を魅了してきた。あふれる気品、匂い立つ色気など見えないところにも人は美を見いだす。

 福田美術館「美人のすべて」展は、館所蔵の美人画約60点を紹介する。京都の美人画の代名詞ともいえる上村松園を中心に、同時代の作品を多く展示する。

上村松園「しぐれ」

 松園の描く女性の魅力は気高さだろう。涼しげな眉、きりっと知的な瞳、ほんのり色づく肌。髪の生え際から鹿(か)の子絞りの着物の柄まで、折り目正しい美が薫る。

上村松園「雪女」

 初公開の「雪女」は近松門左衛門の浄瑠璃「雪女五枚羽子板(ゆきおんなごまいはごいた)」を題材に、殺されて亡霊となる女性を表した。一見怖い感じもするが、その女性・中川は愛する人や主家の危機を救おうとして落命するから、松園の描く気高い女性の系譜に連なるともいえる。

木島櫻谷「婦女図屏風」(左隻)
西山翠嶂「花見」

 描き手の性別によっても表現は変わる。女性の松園に対し、男性の木島櫻谷(このしまおうこく)の美人は伏し目がちで、顔にふわりとかすみがかかったように見える。西山翠嶂「花見」は群像の中の女性をとらえる。鏑木清方、伊東深水ら東西で活躍した画家の持ち味を見るのも面白い。

 美人画には季節も描かれる。松園の「しぐれ」は紅葉、山口素絢(そけん)「妓女聞雁」は群れ飛ぶ雁(かり)、櫻谷「婦女図屏風(びょうぶ)」は咲き始めた萩(はぎ)が目を楽しませる。見る人は季節の変化に美の移ろいやすさを連想し、一層それを惜しむのかもしれない。

伊藤小坡「製作の前」


【会期】1月29日(水)~3月8日(日)。火曜休館(祝日の場合は翌日休館)
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【会場】福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町)
【主催】福田美術館、京都新聞
【入場料】一般・大学生1300円(1200円)、高校生700円(600円)、小中生400円(300円)、障害者手帳提示の人と付き添い1人まで700円(600円)、幼児無料
※かっこ内は20人以上の団体とオンライン割引
【特別講演会】2月15日午前10時、田島達也・京都市立芸術大教授。2000円。館内のカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」で1ドリンク付き。講演後は館内を鑑賞できる。定員45人。オンラインチケットで販売
【問い合わせ】福田美術館075(863)0606