なんともいえない違和感が募る。首都・東京のど真ん中に米軍基地があり、米軍機が自由自在に飛び交う光景に、だ。

 東京都港区南青山。六本木ヒルズなど、多くの高層ビルに囲まれた青山霊園の前に2時間ほど立っていると、ブルブルという音とともに、軍用ヘリコプターが近づいてきた。

 灰色の機体には「U・S・AIRFORCE」とある。爆音を響かせながら霊園に隣接するヘリポートに着陸していった。

 「こんな騒ぎが毎日ある。低空飛行もするし、早朝も、夜でもお構いなしだ」。近くに住むという男性(71)は嘆く。

 着陸したのは「赤坂プレスセンター」。米軍の事実上の機関紙「星条旗新聞」の極東支社があるためにそう呼ばれるが、米軍基地である。

 旧陸軍駐屯地の約2万7000平方メートルの敷地には、将校の宿舎などもある。フェンス沿いに歩くと、日本人らしい警備員が銃を携えている。

 近くには米国大使館や別の米軍関係施設がある。ヘリは横田(東京都)や厚木(神奈川県)など、首都圏の米軍基地から米大使館などに向かう米政府要人や軍人らを運ぶ。

 トランプ米大統領も2017年の初来日でこのルートを使い横田基地から都心に入った。

 都心になぜ、米軍基地があり、昼夜問わず低空で騒音を響かせることができるのか。警備員が銃を携帯できるのはなぜか。

 日米安全保障条約の運用を定めた日米地位協定がその根拠になっている。

 日米安保条約により、米軍は日本国内に自由に基地を置くことができる。地位協定は米軍に日本の国内法が適用されず、日本の行政権が基地内部や軍人に及ばないことを規定する。米軍を特別扱いする取り決めだ。

 そのための特例法もある。人口密集地での低空飛行を禁じた航空法を米軍には適用しない航空法特例法はその一つだ。米軍機は日本の法律に縛られず、思うように飛ぶことがほぼ可能になっている。

 昨年12月に高島市の陸自演習場であった日米共同訓練では、地元に輸送機オスプレイの飛行ルートが伝えられなかった。

 米軍基地がある沖縄県などでは米軍機による騒音被害が日常的に起きている。だが日本政府は米軍の責任を問えない。極めて不平等ではないか。

 ところが日本政府に問題を改善する気はまったく見えない。

 東京都港区は毎年、国や東京都、米政府に基地撤去を求めている。しかし安倍晋三政権は「現時点では返還は困難」などの説明をくり返す。日米安保体制が重要としても腰が引け過ぎではないか。

 沖縄県の独自調査では、ドイツやイタリアの駐留米軍には国内法が原則適用されている。

 60年前の地位協定締結交渉で、外務省が米軍の特権を見直すよう米側に求めていたことが、公開された外交文書で明らかになっている。

 当時の政府は協定の不平等な実態を直視し、行動していた。安倍政権も見習うべきだろう。