山芋とうずら卵がのった「季楽そば」(亀岡市西別院町・犬甘野風土館季楽)

山芋とうずら卵がのった「季楽そば」(亀岡市西別院町・犬甘野風土館季楽)

 香り豊かなソバの風味が鼻に抜ける。つるりとした麺に、優しい味のだしがよくからむ。ぬくもりあふれる店内でいただくそばは格別だ。周りの席からも、麺をいきおいよくすする音が聞こえてくる―。
 京都府亀岡市の山あい、西別院町犬甘野(いぬかんの)にたたずむ農産物直売所に、地区の特産品「犬甘野そば」ののれんがかかる。ダイコンやハクサイ、タマネギなど旬の野菜が並ぶテントの奥に、そばを店内で食べられるスペースが併設されている。
 「いらっしゃいませ」と迎え入れてくれたのは、三角巾にエプロン姿の女性たち。地元営農組合の家族らが交代で店番をしている。そば打ちにだし作り、朝採れ野菜の販売と、開店前から大忙しだ。京阪神からの客が列をなす土・日曜には、市シルバー人材センターのスタッフも手伝いに来る。
 1994年、生産農家らが地域活性化を目指してオープンした。犬甘野地区は標高約400メートルに位置し、朝晩の冷え込みが厳しいため、ソバの栽培に適している。初夏には近くの川辺にホタルが舞い、水や空気のおいしい場所でもある。
 10種類以上あるメニューのうち、1番人気はそば粉8割の「手打ちざるそば」。寒い冬でもそば好きがこぞって注文するという。山芋とうずら卵をトッピングした「季楽(きら)そば」も人気。温かいそばは、氷でしめてからもう一度湯に通し、ゆで加減にもこだわりを見せる。
 2019年で開店から25年。犬甘野営農組合事務局長の中西次男さん(62)は語る。「わざわざ『田舎の直売所』まで足を運んでくださるお客さんに喜んでもらえるよう、これからもおいしいそばや野菜を作り続けたい」



■犬甘野風土館季楽 亀岡市西別院町犬甘野樋ノ口1の2。木曜定休。飲食は午前10時~午後4時。0771(27)2300。