細い路地に木造住宅が立ち並ぶ町並み。京都市内には木造住宅が密集地する市街地が70カ所ある(京都市上京区)

細い路地に木造住宅が立ち並ぶ町並み。京都市内には木造住宅が密集地する市街地が70カ所ある(京都市上京区)

 細い路地に古い木造住宅が立ち並ぶ京都市上京区の正親学区。建物約1400棟のうち、木造住宅が約660棟で半数を占める。袋地の傾いた木造の空き家を前に、住民福祉協議会の尾﨑富美雄会長は心配そうな表情を見せた。「地震や台風で、いつ倒壊してもおかしくない」


 市によると、木造の住宅が密集する市街地は70地区ある。市内では幅が4メートル未満の細街路は約1万3千本、総延長は約940キロ。そのうち幅1・8メートル未満のさらに狭い道は約3400本、約170キロに及ぶ。地震で大規模な火災が起きれば、倒壊した建物により避難が困難となる恐れが高い。消防車や救急車は現場にたどり着けない。
 建築基準法は原則として幅4メートル以上と定義する「道路」に敷地が接していないと、建て替えなどができないとしている。市は老朽化した建築物の建て替えを促進するため、一定の条件で道路認定の基準を緩和する制度の活用を呼び掛けている。だが細街路沿いの全地権者に同意を取る必要があり、広がっていない。
 正親学区では、市の防災まちづくり推進制度による避難経路の確保を進め、高齢者や子どもの安否確認の訓練などに取り組んできた。大災害時ではすぐに公の支援が得られない可能性が高いことから、今後は救出に重点を置くことも検討する。ただ、尾﨑会長は「複数の場所で火事が起きれば、手が付けられない」と危ぶむ。
 路地に沿って木造建築が軒を連ねる町並みは、古都の歴史が育んできた京都らしさでもある。「この風景は京都の文化だ。災害対策と文化をどのように融合させていくのかが、一番大きく難しい問題ではないか」
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 2018年の西日本豪雨で、京都市は水害と土砂災害の発生する危険があるとして、約100万人に避難勧告などの避難情報を発令した。
 市が指定する水害の避難場所は19年8月末現在、330カ所で収容人員は13万2435人、土砂災害では136カ所で4万6449人。一部の避難場所は重複する上、足してもおよそ100万人には及ばない。
 市防災危機管理室は「実際に避難してもらうのは100万人ではなく、十分に対応できる。不足しているとは考えていない」と言い切る。ハザードマップで浸水も土砂災害も対象外だったり、上階への垂直避難で対応できたりするケースがあるためだという。
 柊野自治連合会(京都市北区)の西村淳暉会長は市の見解に首をかしげる。「市全体の数字上という意味だろう。柊野学区は足りていない」
 東西を山に囲まれて中央には鴨川が流れる柊野学区には約5300世帯、約1万2100人が住む。避難場所は鴨川東側の柊野小(収容人員320人)と京都産業大(同2562人)、西側の西賀茂中(同440人)の3カ所。京産大と西賀茂中は土砂災害警戒区域内にあるため、土砂災害の避難場所に指定されていない。
 記憶に新しい昨年10月の台風19号でも、首都圏の一部避難場所では避難者があふれた。東京都府中市では開設した37カ所のうち、16カ所で避難者が集中して受け入れができなくなった。市の担当者は「短時間での難しさはあるが、(避難場所の空き状況などの)情報をどのように伝えるかが課題となった」と話す。
 西村会長は「学区として独自に、地元企業などとの協定を結んではいる。地域が努力するのが先だが、災害は何が起こるか分からないので行政にも考えてもらいたい」と訴える。

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 2月2日投開票の京都市長選へ。身近な市政課題を随時取り上げていきます。