法務省のコレワーク西日本が開いたセミナーで、出所者雇用の実績がある企業から体験談を聞く参加者ら(京都市南区・京都テルサ)

法務省のコレワーク西日本が開いたセミナーで、出所者雇用の実績がある企業から体験談を聞く参加者ら(京都市南区・京都テルサ)

 建設業など人手不足が深刻な業界で、刑務所出所者への関心が高まっている。再犯防止のためには仕事の確保が不可欠で、法務省もこの機を逃すまいと、相談会やセミナーを開催して採用の後押しに乗り出している。ただ、出所者の雇用に長年取り組んできた事業者や保護司からは「再犯防止や更生支援の視点なしに雇用しても長続きしない」と慎重論も出ている。

 「人手不足の影響は大きい。相談件数もどんどん増えています」。法務省の矯正就労支援情報センター(通称・コレワーク)で矯正専門職として出所者の就労支援に当たる山田志保さんは説明する。

 コレワークは刑務所入所者らの職歴や資格情報を集約し、雇用を望む企業に紹介する機関で、2016年4月に大阪市とさいたま市に開設された。今年10月末までに企業からの問い合わせが1614件あり、321件が採用に至った。問い合わせは今年10月に141件と急増し、単月で初めて100件を超えた。

 出所予定者の雇用を希望する企業が増えているが、就労後すぐに退職するケースも多い。このためコレワークは、再犯の現状や出所者の就労の重要性、雇用後の支援制度などを説明するセミナーを昨年度から大阪市や福岡市など各地で開催している。

 11月中旬、京都市南区の京都テルサで開かれたセミナーには京阪神の建設業や食品業など12社から23人が出席した。質疑応答では「殺人や性犯罪を犯した人でも雇っても大丈夫か」「採用後、周りの従業員に犯罪歴を周知すべきか」など次々と手が上がった。

 参加した兵庫県加古川市の建設会社の男性(59)は「3年間、求人票を出し続けたが1件も応募がなかった。出所者に抵抗感がないと言えばうそになるが、背に腹は替えられない」と動機を語った。

 セミナーでは、出所者を雇用した経験がある事業所の体験発表もあった。これまで30人以上を受け入れてきた大阪府八尾市の物流会社の山下義高社長(51)は採用後に連絡がつかなくなったり、再び犯罪に手を染めたりする人がいる一方で、恩義を感じて会社のために尽くしてくれる人もいると話し、「更生してくれることが会社の力になる」とやりがいを語った。

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が成立したが、「文化が同じで日本語が通じる分、外国人より出所者の方が使い勝手がいい」(京都市内の建設会社)との声も聞かれる。しかし、山下社長は「安くこき使えるという発想ならやめてほしい。そんな気持ちで始めても働く人はすぐに気付いて辞めてしまう」と強調した。