目撃情報を元に描いた特殊詐欺の容疑者の似顔絵を手にする村上警部補(大津市打出浜・県警本部)

目撃情報を元に描いた特殊詐欺の容疑者の似顔絵を手にする村上警部補(大津市打出浜・県警本部)

 30年以上にわたり滋賀県警の似顔絵捜査の第一人者として活躍してきた、県警鑑識課の村上憲治警部補(60)が今年3月で定年退職する。その表現力で、数多くの容疑者を追い詰め、何十人もの後進を育ててきた。

 村上警部補は守山市出身で1978年に県警警察官となった。80年代半ば、全国の都道府県警で似顔絵捜査の導入が進み、滋賀県警でも講習会が開かれ、絵が好きで中学時代に美術部だった村上警部補も受講した。
 デビューは、八日市署(現・東近江署)員だった86~87年ごろ。車上荒らし事件が発生し、現場で被害者から「面長で黒縁めがね」などの特徴を聞いて描き始めた。約1時間後、完成直前の似顔絵を見た同僚が「あの男では」と、付近で不審な男を確保。スピード解決に加え、似顔絵とそっくりだったことで評判になった。
 ある事件で容疑者の似顔絵を公開すると、「『お前に似ている』と周りに何度も言われ、観念した」と犯人が出頭した。似顔絵で容疑者が捜査線上に浮上したことは何度もある。県警の似顔絵講習会の講師も長く務めた。
 似顔絵には、表現力に加え、目撃者から的確に特徴を聞き取る力が必要という。大抵の目撃者は「普通の顔だった」と話すため、「どんな性格だと感じましたか」「動物にたとえると?」など、多角的な質問で輪郭を浮かび上がらせる。
 微細な手がかりを元に犯人を追い詰めるドラマ「刑事コロンボ」に憧れ、交通事故でおいを亡くした経験もあり、人の役に立ちたいと警察官を志した。「似顔絵で犯人が逮捕され、被害者を安心させてあげることが一番の喜び。防犯カメラが普及しても、レンズに写らない目撃情報を形にする似顔絵は重要」と話す。2月、自身最後となる講習会まで次世代の育成に努める。