6年間伸ばし、腰まであった髪をヘアドネーションのためカットしてもらう女子生徒。髪をゴムで束ねた上で切り、寄付する(京都市下京区)

6年間伸ばし、腰まであった髪をヘアドネーションのためカットしてもらう女子生徒。髪をゴムで束ねた上で切り、寄付する(京都市下京区)

髪を31センチ切った後の横見月さん

髪を31センチ切った後の横見月さん

 病で髪を失った子どもの医療用かつらを作るため、自身の髪を寄付する「ヘアドネーション(ヘアドネ)」が、10代の間で広がっている。提供する団体によると、昨年は年間寄付数約9万1500件のうち、約3割を占めたという。この冬、初めてヘアドネした京都市内の女子中学生は「子どもの私でも、病気と闘っている人たちの役に立てる」と笑顔を見せた。

 京都市内の中学1年横見月(ゆえ)さん(13)=上京区=は昨年末、腰まである髪を下京区の美容室で切った。ダウン症の妹(6)が生後に入院していた京都大病院で、髪が抜けた子どもたちが院内学級で学ぶ姿を見て、「自分にもできることはないか」と考えたのがきっかけでヘアドネを知り、6年前から髪を伸ばし始めたという。

 小児用かつらを無償提供する活動を2009年から行うNPO法人「JHD&C(ジャーダック)」(大阪市)によると、寄付は毎年増え続け、1日に寄せられる数は200~300件。ここ数年は特に10代の割合が増加し、夏休み中には全体の4割を占めることもある。事務局を見学する若者も増えており、有名芸能人がSNSでヘアドネ経験を発信している影響などもあるという。

 ヘアドネは、切った髪の長さが31センチ以上あれば年齢や性別を問わない。しかし、パーマなどで傷んだ髪は薬品を使った特殊処理を施す必要がある。子どもの髪は傷みが少なく、「処理が最小限で済み、無駄なくかつらに生まれ変わりやすい」(JHD&C)と歓迎されている。

 髪が短くなった自身の姿を見て、横見さんは「お金も何もいらずできた。またやりたい」とほほ笑んだ。新学期に学校で友人に話すと「私もやってみたい」と賛同の声が挙がったという。母親の容子さん(35)も「人を思いやる経験を小さい頃にできたことはよかったのでは」と話す。

 JHD&Cによると、1人分のかつらを作るために少なくとも30人分の髪が必要で、現在300人余りが着用を希望し待機状態だという。担当者は「誰かの役に立ちたいという純粋な気持ちが10代にも広がっているのはうれしい」と話す。