いよいよ地球滅亡までの残り時間が秒単位に縮まった。核兵器などが人類に与えるリスクに警鐘を鳴らす「終末時計」が過去最短の100秒となってしまった▼穂先が垂れる形の「禾(のぎ)」に「少」を組み合わせた「秒」は極めて細い穂先、転じてかすか、わずかの意。時間や角度をはかる小さい単位として、分の60分の1を表す(白川静著「字通」)▼米誌が概念的に示す終末時計は、米国の原爆開発に携わった科学者らが1947年に創設。米ソの水爆開発が本格化した53年、核兵器削減の停滞が目立った一昨年と昨年の「残り2分」がこれまで最も短かった▼核の脅威に限らず、温暖化やテロ頻発、サイバー攻撃と、人類破滅への懸念材料が増えている。ノーベル賞受賞者ら専門家がこの1年の国際情勢を分析し、時計の針を昨年より20秒進めた▼秒刻みで危機を警告した理由は明らかだ。脅威は主に核戦争と気候変動の二つであり、とりわけトランプ米政権がイラン核合意や温暖化対策の枠組み「パリ協定」を否定し、多国間協調に背を向けているためだ▼危機は刻々と迫るものの、かつて冷戦終結により7分逆進したように針は巻き戻せる。次代を担う若者が核廃絶や脱炭素に向け、世界中で声を上げ始めたのが心強い。秒から分、時間へ危機を遠ざけたい。