中国の武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が、「指定感染症」となった。きのう、政府が決めた。

 2014年の中東呼吸器症候群(MERS)の指定以来で、患者の強制入院などが可能となる。これによって、新型肺炎の拡大を防ぐ態勢を整えてもらいたい。

 これまでは、世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言してから指定していた。

 宣言が見送られたのに指定したのは、WHOの動きを待っていたのでは、対応に遅れが生じる可能性もあると判断したからだ。

 発生した中国は隣国で、人の往来が多い。しかも、ウイルスの感染力は増しているとされる。中国以外でも、人から人への感染が疑われている。

 日本が、独自に対策を講じるのは、当然のことである。

 感染症法の指定感染症としたことで、特別な病室を設け、専門の医療従事者のいる指定医療機関に患者を強制的に入院させたり、就業を制限したりすることが、1年間の期限付きで、できるようになった。入院中の治療には、公費が助成される。

 政府は、検疫法の検疫感染症にも指定する方針で、空港や港で感染の疑われる人の検査や診察も行える。

 感染の拡大防止に向けて、これらの権限を適切に行使できるようにしてほしい。

 全国に約400カ所ある指定医療機関で、患者の受け入れ準備を進めねばなるまい。

 政府、自治体、医療機関の関係者らが連携を深め、情報を共有しておくことも大事だ。

 日本国内で発見された感染者には、乗客が発熱していないか調べる空港の検査機器を、すり抜けて入国した人がいた。感染を水際で食い止めるには、検査の改善が必要ではないか。

 いずれにしても、実効性のある対策が求められる。併せて、入院した患者への中傷や嫌がらせなどがないよう、配慮したい。

 武漢市で新型肺炎の発症者が出始めた昨年12月、地元当局はかん口令を敷いたという。現地で初動の遅れや、対応のまずさがあったのは確かだろう。こうした状況は早急に改めてほしい。

 新型肺炎の制圧に手間取れば、企業業績や東京五輪・パラリンピックに影響しかねない。WHOとともに日本も中国側とよく協議して、万全の対応をすべきだ。