反逆者か名君か、教養人ながら非情な面も-。歴史に名をなした人物で彼ほど謎に包まれ、評価の分かれる人はそういないだろう。再来年のNHK大河ドラマの主人公となる戦国武将・明智光秀だ▼生年や出生地も諸説あり、本能寺の変の真意は百家争鳴が続く。主君の織田信長を討った「裏切り者」のイメージがつきまとうが、丹波領の拠点とした亀岡市や福知山市では城下町や治水の基盤を築いた恩人との評が根強い▼その光秀の大河ドラマにゆかりの地は色めき立つ。誘致活動を続けてきた両市など11市町は、観光客を呼び込む共同PRや受け皿作りに熱を入れている▼早くも「大河効果」か、亀岡市などが寄付を募った亀山城跡前への光秀像建立には市内外から目標額の1・4倍の2800万円が集まった。「光秀公が再評価されている」の声が聞かれている▼ただ、丹波の中にも複雑な思いがある。隣の南丹市には光秀の丹波攻めで落城した八木城跡や、新たな築城のため周辺寺院を破壊した記録が残り、京丹波町でも寺が焼失したと伝わる▼そんな遺恨も超えて光秀観光で手を携えようと、両市町と亀岡市の首長、観光関係者が先月、丹波攻めで焼けた寺院で「和合」と刻んだ石碑を除幕した。これから光秀の多面性がどう描き出されるのか興味深い。