禁止する法律ができても、一向に減るように見えない。

 チケットの不正転売だ。

 国民生活センターによると、インターネットでの転売トラブルの相談が、2019年度は既に4300件を超えている。前年度の2倍以上だ。

 昨年6月にダフ屋行為をネットにも広げて規制する入場券不正転売禁止法が施行されたのに、どうしてか。

 同10月に人気グループ「嵐」の公演チケットを会員制交流サイト(SNS)で、定価の14倍超の13万円以上で転売した20代女性が書類送検された。同法の初適用だ。今年に入り宝塚歌劇団のチケットを高額転売した男性が逮捕されてもいる。

 ただ、そうした摘発は氷山の一角だろう。先の相談件数を考えると、不正な転売はむしろ増えているのではないか。

 禁止法では、営利目的で定価を超える高額で転売したり、転売目的でチケットを買ったりすれば、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられる。

 チケットの高額転売が横行すれば、それだけ一般ファンの楽しみを奪うことになる。特に若いファンには不相応な高額負担をかけ、不正転売チケットと分かれば入場を断られる。ファンの心を踏みにじるものだ。

 そもそもチケットの定価はファン層を広げるために、多くの人に見てもらえるよう設定してあり、市場原理だけで決めないのが、大方の公演者側の考えという。

 一方、ネットをのぞくと、チケット転売の仲介サイトがすぐに見つかる。あるアイドルグループの公演チケットが十数万円もする。出品者が付けた価格で、あくまでファン同士の取引という体裁だ。

 禁止法は「業として」の転売を禁じており、違法ではないとの理屈だろう。しかし、転売目的が実態ではないか。不正転売と知っての仲介なら、ほう助などに問われてもおかしくない。アイドルグループの所属事務所のサイトには、チケットの転売を禁じる規約が明示されている。

 ツイッターでもチケット転売の投稿が多い。不正転売の場になっていないか、ネットを厳しく監視し、違法の疑いがあれば摘発に乗り出すべきだ。

 ラグビー・ワールドカップ(W杯)で海外サイトの不正転売チケットを買い、観戦できなかった事例があった。東京五輪・パラリンピックではチケットの不正防止策が取られてはいるが、ネットにも目を光らせる必要がある。