わが家の冬の定番に「サワラのおっちょこ焼き」があります。ある時、祖母は私にサワラのかす漬け用に酒かすを買ってきてと言付けたのですが、寒空の下でぼんやりしていたのか甘酒を買って帰りました。仕方あるまいと甘酒で漬けてくれたのですが、これが大正解。ふっくらと甘やかな一品が誕生し、「おっちょこちょいが功を成したな」ということでおっちょこ焼きと相成りました。甘いものが苦手な男性陣にもこれならみそ漬けよりさっぱりしていてお酒が何杯でも進むわと好評なんです。

 お菓子の「柿の種」は小判形の金型をうっかり踏んづけてしまい、試しにその金型であられを作ったところ柿の種のような形になり評判を呼んだのだとか。世紀の大ヒット商品の中には失敗がきっかけで生まれたというものも少なくありません。偶然の産物がまた生まれたらいいなと下心を出しつつも、得てして物事はそう簡単にはいかないようです。


◆小平泰子 こひら・やすこ 1977年京都市生まれ。旬の食材を使い、和食にとらわれず、食材の組み合わせの面白さを提案したレシピを考案。中京区烏丸三条と東京・日本橋で料理教室を開く。近著に「季節の野菜と果物でかんたんおつまみ」がある。インスタグラムはyasukokohiragokan