国の指示に従わない自治体には根拠が曖昧なペナルティーを与えても構わない-。そんな空気が広がってしまわないだろうか。

 総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外した決定を巡る訴訟で、大阪高裁が決定取り消しを求めた同市の請求を棄却し、国勝訴の判決を下した。

 同市を新制度から外した総務省の決定は、過去にギフト券など過度な返礼品競争をしていたことを問題視したためである。

 泉佐野市は、ほかにも地場産品でないビールや肉など豪華な返礼品を寄付者に贈り、2018年度に全国首位の約497億円を集めた。確かにやりすぎの面はある。

 だが、総務省が返礼品を法規制する新制度を始めたのは昨年6月である。規制前の行為を除外の判断理由にしたことや、それを是認した司法判断は理解に苦しむ。

 高裁は、同市の返礼品は突出して極端で是正すべきだったと指摘し、新制度からの除外は総務相の裁量権の範囲内だとした。

 この理屈でいくと、総務省はじゃんけんの「後出し」のようなやり方で自治体を統制できることになる。判決は、国の押しつけ的なやり方にお墨付きを与えてしまったのではないか。

 総務省の決定については、第三者機関の国地方係争処理委員会が昨秋、法規制以前の行為を理由にした除外は法律違反となるおそれがあるとして再検討を勧告していたが、同省は耳を貸さなかった。

 新制度は、返礼品を「寄付額の30%以下の地場産品」とし、自治体は事前に総務省に申請しなければならない。ルールを守る自治体だけが対象で、国による「事実上の許可制」との批判もある。

 ふるさと納税を巡る総務省のやり方は、国と地方の関係を「上下・主従」から「対等・協力」に転換させる地方分権の流れを後退させかねない。地方に対する支配が再び強化されないか心配だ。

 ただ、泉佐野市の寄付金集めの手法については係争委も否定的な見方を示していた。豪華な返礼品で寄付を誘うやり方が自治体の財源確保の手段として適切かどうか、総務省と自治体の間で幅広い議論が必要ではなかったか。

 問題は返礼品だけではない。ふるさと納税制度は、特定の自治体に寄付すれば自己負担分を除いた額が居住地の住民税から差し引かれる仕組みで、都市部では住民税がマイナスとなる例も目立つ。

 制度そのものがはらむ矛盾についても抜本的見直しが不可欠だ。