「やさしい日本語」の輪が広がっている。阪神大震災で外国人住民に情報が伝わりにくかった反省から研究が始まり、防災情報の発信に役立てられている▼文を短く、敬語や方言は使わない、熟語を避け簡単な言葉に―この3点がこつという。「緊急に避難してください」よりも「すぐ逃げてください」の方が伝わりやすい。一昨年の大阪府北部地震で京都府内の自治体がホームページに使う例もあった▼地域で暮らす外国人が増え、出番は防災に限らないようだ。近所付き合いを入り口に在住外国人を支援する京都市の市民団体「外国人女性の会パルヨン」は、やさしい日本語の使い方を考えるワークショップを先週始めた▼例えば「昆布のつくだ煮」をどう説明するか。商店主らと外国人住民が知恵を出し合う。材料や調味料の名と「小さく切る」「煮る」といった短い言葉を組み合わせると通じた。接客や交流のさまざまな場面で工夫できることを探る▼パルヨンの黒田素子さんは「心の壁を低くしたい。良い関係ができれば、周りにも広がっていく」と期待する▼言葉が通じると安心にもつながる。訪日客も多い京のまち。困っている人に「やさしい」を意識して日本語で声を掛けてみる。心の壁を解かし、互いに良き隣人となる最初の一歩かもしれない。