フランス大会へ向け、「やるべきことが把握できた」と語る日本代表の長谷川コーチ(京都市中京区)

フランス大会へ向け、「やるべきことが把握できた」と語る日本代表の長谷川コーチ(京都市中京区)

 昨年秋に国内開催されたラグビーワールドカップ(W杯)で日本を8強に導いた日本代表の長谷川慎コーチ(東山高―中大出、ヤマハ発動機)がこのほど、京都新聞の単独インタビューに応じた。快進撃を支えたスクラム担当のキーマンは「優勝した南アフリカと(準々決勝で)本気で戦うことができた。2023年のフランス大会に向け何をするべきか把握できた」と収穫を語った。

 ―FW第1列が活躍し、スクラムが注目された。何が変わったのか。
 「今までは代表に個々に強い人を集め、こういう風に組もうと取り組んできた。だが今回はスクラムが強い人というより、ラグビーのうまい8人で組むようなイメージ。一人の強い選手に好きに組ませるのではなく、個性を消させ、一人一人が自分の仕事をするように変えた」
 ―そのメンバーを『スクラム番長』の異名を取る長谷川コーチがまとめた。
 「土台の考え方は、サントリーでのプレー経験やコーチになったヤマハで選手とずっと取り組んできたこと。みんなで作った、みんなのスクラムです」
 ―フランス留学が大きかったのか。
 「日本ではニュージーランドや豪州のコーチングを受ける機会が多いが、少し違うスクラムを勉強したかった。現地のコーチは自分の組み方を一から百まで持っていて、それを学んで帰ろうと。『フランスのスクラム』はなく、代表コーチの組み方がフランスのスクラムになる」
 ―日本代表で、どう落とし込んだのか。
 「選手はラグビーの練習で覚えることが多く、できるだけスクラムの負担を減らしてあげたかった。グラウンドでの練習は1週間で24分、25分とか。なのでグラウンド外でミーティングしたり、選手と話す時間がすごく長かった。やりたいことや思いは伝えられた」
 ―低く組み、相手に力を出させないことを意識したスクラムに見えたが。
 「どうやったら全員の力を漏れずに使え、相手は漏らすのかを考え抜いた。1週間で強くしろと言われても、できない。手応えは、開幕前の南ア戦(9月6日)でつかめた。ある程度、でき上がったなと」
 ―アイルランド戦(9月28日)は前半35分、スクラムで反則を奪った。快進撃を象徴する場面だった。
 「ペナルティーしていると失点につながっていた場面なので。でも、うまくいったスクラムよりも悪いスクラムの方が頭に残る。予選プールでたぶん三つ、四つあったと思う。ボールが出る、出ないではなく、いい組み方ができなかったスクラムが残っている」
 ―フランス大会へ、どう進化させるか。
 「4週間だけでなく6週間、試合ができるフィジカルが必要になる。今回は日本の芝生と対戦国を考え、今の選手に合う組み方をした。ルールもレフェリーのトレンドも変わるので、その時々に合わしていく」
 ―新しいファンも増えた。何を期待するか。
 「スクラムもあればモール、ラックもあり、ラグビーの楽しみ方は一つではない。ラグビーの文化を大好きな人が今までも多くいたけど、そういう文化も含めて好きになってもらえれば」

 はせがわ・しん 七条中、東山高、中大を経てサントリーでプレー。プロップとして1999、2003年のW杯に出場。日本代表キャップ40。07年に引退し、16年から日本代表コーチ。47歳。