霊場の再整備に伴い解体される浴場施設から取り外される扁額を見守る住民ら(京都市右京区・仁和寺)

霊場の再整備に伴い解体される浴場施設から取り外される扁額を見守る住民ら(京都市右京区・仁和寺)

御室八十八カ所霊場第一番札所(京都市右京区)

御室八十八カ所霊場第一番札所(京都市右京区)

 真言宗御室派総本山・仁和寺(京都市右京区)は、一昨年の台風21号の強風で被害を受けた境内の霊場「御室成就山88カ所」の再整備に乗り出す。地域住民らの集う法要がこのほど営まれ、整備事業の成功を祈るとともに、工事に伴い解体される浴場施設に別れを告げた。


 御室88カ所霊場は、四国巡礼に行けない人のため1827年ごろに整えられた。88番札所のそばには巡拝を終えた人が汗を流す浴場「御室薬湯」があり、1970年代まで参拝者や地域住民の憩いの場となっていた。
 約2時間で一巡できる手軽さから、健康のために歩く住民の姿が日常的に見られるなど親しまれてきた。だが、台風の強風で約70棟の建物が破損。数百本の樹木が倒れるなど大きな被害を受け、今も荒れたままになっている。
 同霊場は2027年に開山200年の節目を迎えることから、仁和寺では写経などで浄財を募り、倒木の切り出しや堂宇の修復を計画。山中への不法投棄も懸案となっており、倒木の整理と合わせて撤去する。
 浴場施設は切り出した木を一時的に置く場所が必要となったため解体を決めた。31日の法要後には玄関前に掲げられた扁額(へんがく)が外される様子を住民が見守った。幼少時に浴場を利用したという福王子神社宮司の村田健史さん(81)は「さみしい気持ちもあるが、新しい霊場の整備を心から応援したい」と話した。